中も外もアウディらしい
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アウディQ7に加わったV6モデル。全長5058×全幅1985×全高1740mmはハマーH2並の巨体だ。価格はV6が698万円、V8は945万円 |
今年4月に日本導入された
アウディQ7のV6に試乗した。北米などではともかく日本では持てあますサイズだろうし、いまや競合車も数多いので売れないのでは、と予測していたが本国をはじめ欧州では立派なヒット作だそう。そして1000万円級のV8モデルしかなかった本邦でも着実に売れているというから驚きだ。さらに、約250万円安価な価格V6モデルを追加してさらに攻勢をかけようという狙いだろう。内外装のデザインは、ひと目どころか一瞬でも目をくれればアウディだとわかるSUVだ。
思ったより走る
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見た目も触感も上質なインテリアはまさにアウディらしい。その質感の高さは、好敵手がひしめく高級SUVにあってもトップクラスだ。MMIの操作性はBMWのiDriveよりも上手だと思う |
今回乗ったQ7は、V6 3.6Lの直噴エンジンでフルタイム4WDであるクワトロ。40万円のエアサスや45万円の3列目席が装着され、車両価格は879万円に跳ね上がる。車両重量は2320kgもあり、兄弟車のトゥアレグよりも30kgほど重い。よじ登るように運転席に収まると見晴らしのよさとともに、助手席、3列目の後にあるテールウインドウがずいぶん遠くに感じる。幅の広い幹線道路であっても、全幅がもたらすサイズ感には慣れが必要で渋滞を避けるため細街路に入りこんだときには少々重圧を感じた。毎日狭い街中を走るならボディサイズは入念に確認しておきたい。
280ps/36.7kg-mのV6には、この巨体と車重は荷が重いと思っていたが思いのほか走る。新しいトゥアレグV6との明確な重量差は感じることはなかった。逆に静粛性など音関係に関してはトゥアレグよりも上質という印象を受けた。
高級SUVの中でも高級
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フロントの大口を開けたグリル同様、リヤからの眺めもアウディそのもの。涙目っぽいリヤコンビランプが特徴的であるが、顔つきほどのインパクトはない |
トゥアレグのV6と同じQ7のV6だが、これほど印象が異なるかと思ったのは前者が演出と思われる結構勇ましいエキゾーストノートを奏でるのに対して、後者は抑えようという意図が感じられる点。トゥアレグV6が若々しくスポーティなキャラを演じているのに対して、Q7はもう少し大人でエンジンの存在感が表に出ない。吸音材などの配置や量は分からないが、音に関してはQ7のほうが高級車にふさわしいと思われる。ただし、やや荒々しさを残す回転フィールは共通のテイストだ。
さて、肝心の走りっぷりだが、豊かなトルクと幅広いトルクバンドにより街中でのストップ&ゴーはもちろん、高速道路でも十分に走ってくれた。V8モデルと比べてしまえば余裕綽々とはいえないし、重いクルマが加速していく感はありありだが、遅くて不満ということはない。それよりも落ち着きさえ感じるので、静粛性の高さやエアサスの恩恵もあり高級SUVの中でも十分にハイレベルな存在に感じられた。
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