
というのがバネオの試乗前の印象。一番不可解だったのは2列シートの採用だったのだが、本国(EU仕様)にはオプションながらちゃんと3列シートが用意されているとのこと。付け加えるならば日本仕様も荷室フロアをめくれば、サードシート取り付け用のアンカーが備わっている。
その話を聞けば「だったら日本にも3列シート仕様を」となるのが成り行き。余計に困惑してしまうのだが、日本仕様を決定するにあたって、これまでのメルセデス・ベンツのユーザーの傾向を考える等々の結果、2列シート仕様に決定されている。

それはともかくとして、バネオは実に真面目なクルマである。おそらく、一般的なドライバーのメルセデスベンツのイメージからは想像できないほど高級とか上質の演出がない。道具としての便利さをとことん追求した設計なのである。
フロアは前席から荷室までフラット。フロアカーペットも薄手で、見栄えよりもタフネス優先。シートは脚部がスチールの構造材むき出し。インパネも樹脂感覚が強い。リヤドアは両側スライドドアを採用し、テールゲートは床面から開く大きな開口部を持つ。乗降性や積載性への配慮がヒシヒシと伝わってくる。センターパネルが木目調になっているが、ワゴンを主張するが、全体的には洒落っ気のあるデリバリーバンといった風情である。

ただ、高級グランドツアラーほどの質感はなく、やはり荒れた路面では揺すられやすいし、ロードノイズも大きめ。けっこう生々しさのある走りである。ただ、神経を逆撫でするような部分がなく、据わりのいいハンドリングの安心感と相まって、「不器用だけど信頼できる相棒」とドライバーに思わせるようなところがあるのだ。
動力性能にしても同じ。5速ATを奢っているものの、高速域では高回転の使用頻度が高くなる。そのお陰で加速の面ではストレスを感じないのだが、高回転まで回せば回したなり、アクセルを踏み込めば踏み込んだなりにエンジン音が高まる。これも不快感はなく、乗り心地やロードノイズとのバランスからすれば、これがうまいまとめ所なのだろう。
