F1/F1(フォーミュラ1)について

これを読めばF1の2010年が分かる(2)(2ページ目)

2010年F1シーズンプレビューVol.2は「注目のドライバー編」。入れ替わりの激しかった今シーズンのラインナップから、楽しみな組み合わせ、注目の新人などをたっぷりとご紹介します。

辻野 ヒロシ

執筆者:辻野 ヒロシ

モータースポーツガイド

41歳で現役復帰、ミハエル・シューマッハー

復帰といえば、やはりシューマッハーでしょう。2006年、若き王者フェルナンド・アロンソに2年連続で敗れ、現役を引退したミハエル・シューマッハーが4年ぶりにF1に戻ってきました。

41歳という年齢での復帰は本当に大丈夫なんでしょうか?シーズンオフにはその復帰に対して懐疑的な意見も出ましたが、過去にもニキ・ラウダやアラン・プロストなどが復帰してチャンピオンを獲得した例もありますし、多くの人が「ミハエルならやれるはず」と期待をもって彼の復帰を見つめています。
ミハエル・シューマッハー
【写真提供:Bridgestone Motorsport】
シューマッハーは昨年、負傷したマッサの代役で「フェラーリ」から復帰するという話がありましたが、バイクレース事故の後遺症でドクターストップがかかり、復帰は叶いませんでした。世界中のファンが落胆しましたが、その時からすでに沸き立っていた彼のレース復帰への情熱はどうすることもできなかったようです。

育ての親「メルセデス・ベンツ」のワークスチームとしての復帰、しかもその母体となるのはロス・ブラウン氏率いる昨年のチャンピオンチーム、そしてメルセデスは実力のあるドイツ人ドライバーを起用したがっていた。ミハエル・シューマッハーの復帰はいくつかの「奇跡」が重なって実現したと言えるでしょうが、新チーム「メルセデスGP」の誕生自体が彼のために用意されていたものだと言えなくもありません。

もし、彼が「フェラーリ」から代役で復帰していたらどうだったでしょう?あくまで空想の域を出ませんが、きっと7度のワールドチャンピオンである彼でさえ、ポテンシャルの低すぎた「フェラーリF60」に手を焼き、彼の復帰は平凡な成績に終わっていた可能性が大きいと思います。今までのよしみのまま「フェラーリ」に乗らなかったこと、これは今考えれば良い判断だったのかもしれません。

ニキ・ラウダ、アラン・プロストが実現した復帰してチャンピオンという「奇跡」。今年、いきなりミハエル・シューマッハーもそんな奇跡を起こしてくれるでしょうか?
ミハエル・シューマッハー
【写真提供:Bridgestone Motorsport】

バトンとハミルトン、どっちが速い??

「ブラウンGP」が「メルセデスGP」に変わり、メルセデスもドイツ人ドライバーを望んだため、昨年のワールドチャンピンであるジェンソン・バトンは「マクラーレン」に移籍しました。「マクラーレン」は今年もメルセデスのエンジンを搭載しますが、事実上、メルセデスユーザーのプライベートチームに降格してしまいました。

そんな「マクラーレン」では2009年王者のジェンソン・バトンと2008年王者のルイス・ハミルトン、2人の英国人ワールドチャンピオンがコンビを組みます。最近またF1の人気が復活してきているというイギリスのファンは否が応でも「マクラーレン」に注目するでしょうが、「マクラーレン」の今年のマシンのポテンシャルはかなり高そうですし、2人のワールドチャンピオンでどちらが速いのかという点には世界中からの注目と関心が集まります。
バトンとハミルトン
【写真提供:Bridgestone Motorsport】
下馬評でもテストのタイムを見てもハミルトン優勢という見方ができますが、果たしてそうでしょうか?今年は給油が禁止されたために、フルタンクでのスタートになりますが、タイヤは柔らかい「プライム」と硬い「オプション」の両方を決勝で使用せねばならず、ピットインが1回は必要になってきます。ピットインの回数を減らすためにはタイヤを労わった走りも求められることになり、イケイケどんどんの走りだけではレースに勝つことはできません。

そういう意味では速さはハミルトンが勝っても、レースの結果ではタイヤに優しい走りができるバトンにも勝機は充分にあると言えます。2008年に「奇跡」的な1ポイント差でチャンピオンになったハミルトンか、2009年に「ホンダ」撤退の悲劇から奇跡的な王者への階段を登り切ったバトンか、さて、最後に笑うのはどちらでしょうか?
ハミルトンの走り
【写真提供:Bridgestone Motorsport】

アロンソvsマッサの行方は?

「マクラーレン」が2人のナンバーワンドライバー体制なら、「フェラーリ」もフェルナンド・アロンソを迎え入れ、不運なアクシデントから奇跡的に復帰するフェリペ・マッサと組んで、こちらもナンバーワンドライバー2人体制となります。

フェリペ・マッサは昨年、他車のマシンのパーツが顔面を直撃し、あと少しで失明というレーサーとしての致命傷にもなりかねないアクシデントに遭遇しました。まさに不幸中の幸いで、コクピットに戻ってくることができたマッサはウインターテストでも好調。テスト初日からトップタイムをマークするなど、完全復活をアピールしています。
フェリペ・マッサ
【写真提供:Bridgestone Motorsport】
一方のアロンソもイタリア語でコミュニケーションを取り、「フェラーリ」のチーム内でのイニシアチヴを早く取ろうとしているようです。マッサとの関係は良好とアロンソはインタビューのたびに答えていますが、果たしてそれがいつまで続くでしょうか?
アロンソの走り
【写真提供:Bridgestone Motorsport】
本人もチーム首脳も望みが一致して迎えられたアロンソ、チームの内部で愛され、フェラーリファン、ティフォシたちからも絶大な支持を得るマッサ。今年の「フェラーリ」のポテンシャルは昨年ほどは悪くなさそうですし、バトンとハミルトンのチーム対決以上に、アロンソとマッサのチーム内バトルは複雑な要素も絡み合ったバトルになっていくでしょうね。

次のページでは伏兵、新人ドライバーの中での注目株をご紹介します。
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