F1/F1(フォーミュラ1)について

マカオで感じた日本人ドライバーの可能性(2ページ目)

未来のF1ドライバー候補生達がバトルを演じたマカオGP。5人の日本人が参加したが終わってみれば、表彰台は外国人が独占。はたして、日本のF1候補生達に未来はあるのか?

辻野 ヒロシ

執筆者:辻野 ヒロシ

モータースポーツガイド

クレバーでスマート、平手晃平は日本のスター候補だ。

爽やかな笑顔を振りまく平手晃平。清潔感溢れるその表情はスター性充分だ。
TDPのサポートを得てユーロF3選手権を戦った平手晃平は愛知県小牧市出身の20歳である。同じTDPドライバーの中嶋と小林よりもフォーミュラカーのキャリアは1年先輩にあたる。

平手は16歳でフォーミュラトヨタにデビュー後、翌年から活動の場をヨーロッパに移し、今年は海外レースキャリア4年目を迎えていた。ユーロF3は2年目であるが、昨年は非力なオペルエンジンを搭載するチームながらも善戦。今年はついに念願のメルセデスエンジンを搭載するトップチーム、マノーモータースポーツに移籍しチャンピオンを狙った。

ユーロF3では開幕戦の第1レースで優勝を飾ったが、残念ながらその後は優勝に恵まれなかった。しかし、キッチリとポイントを重ねて、終わってみればシリーズ3位を獲得している。

決勝レースのスタート前に集中力を高める平手晃平。
平手にとって2年目のF3マカオGPは負けられないレースであった。フリー走行から速さを見せ、上位に名を連ねた。

しかし、小林と平手のフロントロウ対決となった予選レースではフォーメーションラップ中に誤ってタイヤをウォールにヒットさせてしまい、サスペンションにダメージを負ってしまう。バランスを欠いたマシンで苦しいレースとなったが、何とか3位に入ることに成功した。

マイク・コンウェイとテール・トゥ・ノーズのバトルを展開する平手晃平。この後ブレーキトラブルに悩まされることになる。
(写真:Yoshi KITAOKA)
そして決勝ではスタートで若干出遅れたが、それが運良くトップ3台のアクシデントを避けることにつながり、コンウェイに続いて2位を走行することになった。しかしながらチームがマカオのために導入したブレーキが不調で山側でジリジリと離され、最後は完全にブレーキが壊れクラッシュし、レースを終えた。

平手は決して無茶をするタイプではない。彼のキッチリと結果に結びつけていくクレバーな走りはF1に行った時に大きく評価されるのではないだろうか?マカオでは自分のミスやマシントラブルで悔しいレースとなったが、彼にはすでに最終試験への道ができている。

「ここ(マカオ)には戻ってきませんが、来年も頑張ります。見ていてください」

そう言い残して平手はギアサーキットを後にした。すでに気持ちは来年に向けて前進を始めている。来年は中嶋と共にGP2に参戦することが決定している平手晃平。さらにはオフシーズンにはTOYOTA F1 Teamのテストも経験している。GP2のレースで結果を残し、きっと訪れるであろうF1テストのチャンスでその才能を発揮すれば、おのずと道は開けてくるに違いない。

平手晃平は実に爽やかな笑顔を振りまく好青年だ。彼の周りに与える印象は実に気持ちよく、それでいてしっかりしているから応援したくなるタイプだ。今後の活躍次第ではファンの数も急増し、日本を代表するF1ドライバーになる可能性も充分に秘めている。

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期待を背負う日本の2世ドライバー、中嶋一貴
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