F1/F1(フォーミュラ1)について

マカオで感じた日本人ドライバーの可能性

未来のF1ドライバー候補生達がバトルを演じたマカオGP。5人の日本人が参加したが終わってみれば、表彰台は外国人が独占。はたして、日本のF1候補生達に未来はあるのか?

辻野 ヒロシ

執筆者:辻野 ヒロシ

モータースポーツガイド

難攻不落のマカオ!06年のラインナップは最強。

世界中からF3のトップランカーが集結するマカオ。記念撮影を共にした中からF1ドライバーの座を掴めるのはほんの一握りのドライバーだけだ。
F1ドライバーの座を目指して多くの若手レーサー達が挑むF3マカオグランプリ 。今年はトップ争いの混乱をすり抜けたイギリスF3選手権チャンピオン、マイク・コンウェイが優勝を飾った。

レース内容は別にしても、今年のマカオGPは久々に主要なF3選手権のチャンピオンが集い、実にツワモノ揃いのメンツでレースが行われたと言える。

優勝したイギリスF3王者のマイク・コンウェイ、ユーロF3王者の塚越広大など、これからが大いに期待される若手が集い、今後何年か先のF1界の一部を垣間見たようなラインナップである。

そんな中、今年は日本人が上位を独占する可能性も充分に期待されたが、日本人ドライバー達は決勝レースでは苦しい戦いを強いられた。

市街地レース、マカオGPは不確定要素が通常のレースの何倍も存在するが、それは国籍関係なく全員同じ条件であることに変わりはない。マカオでは、レースを通じて日本人の弱さも垣間見た。しかしながら、レースに負けはしたが今後の可能性も充分に感じたマカオでもあった。

驚異的な速さを持つ19歳、小林可夢偉

ギアサーキットを走る小林可夢偉(ASM)。
(写真:Yoshi KITAOKA)
今年のマカオで最も素晴らしいパフォーマンスを見せた日本人は
小林可夢偉(こばやし・かむい)だろう。

小林可夢偉は兵庫県尼崎市出身の若干19歳である。トヨタヤングドラーバーズプログラム(TDP)のサポートのもと、昨年はフォーミュラルノーのユーロ選手権とイタリア選手権の両方でチャンピオンに輝き、今年は念願のユーロF3選手権への進出を果たした。(シリーズ8位)

初めてのマカオ挑戦にも関わらず、小林はフリー走行のセッションの度にタイムを削り、公式予選ではトップタイムを叩き出し、さらには予選レースをブッチギリで制するという快挙を成し遂げた。

リラックスした表情と闘志むき出しの厳しい表情。どちらもカリスマ性を感じる小林可夢偉
小林可夢偉はレーシングカート時代からその速さにおいて、一目置かれる存在だった。野性的な走りと勝負強さ、そして何とも堂々とした立ち振る舞い。小林可夢偉という青年が持つパワーは毎年増幅し続けている。

小林可夢偉が所属し、ユーロF3を戦ったチームは強豪のASMである。このチームは昨年、ルイス・ハミルトンを圧勝でチャンピオンに導いたユーロF3最強チームである。小林もトップチームであっさりチャンピオン争いをしてしまうのかと思いきや、やはりそこはルーキーとして苦しい部分が垣間見えた。

しかし、その集大成とも言えるマカオの予選レースで見せた速さはまさに「伏兵、KOBAYASHI現る」と言えるもので、世界のレース関係者に強烈な印象を与えた。

決勝レースでは不運なアクシデントで優勝争いから脱落したが、小林可夢偉は無駄な言い訳をせずに来年のマカオ制覇に向けて闘志を燃やしている。その前進あるのみの姿勢と存在感は日本人初のF1チャンピオンの最有力候補と言っていいだろう。

小林はマカオ後にTOYOTA F1 Teamのテストに参加し、F1を経験した。来シーズンも引き続きユーロF3に参戦し、マカオGPに挑むことになるだろう。1年目のマカオは1周目のリスボアでアクシデント、しかし2年目には優勝という佐藤琢磨と同じパターンを見せてくれる気がしてならない。

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クレバーでスマート、平手晃平は日本のスター候補だ
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