今年出たクルマの中で最も「凄い!」と思ったのは、やっぱりエスティマ・ハイブリッドである。こう書くと「日本カー・オブ・ザ・イヤーの投票を見るとフィットに満点の10点を入れているじゃないの」と思う方もいるだろう。実際、相当迷った。エスティマに10点を入れようと思っていた時期もあったほど。しかし日本カー・オブ・ザ・イヤーは個人の趣味を反映する場でない。もっとオフィシャルなものだ。そう考えると、300万円以上するエスティマより100万円少々で買えるフィットの方が普遍性あります。
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しかしこの場は個人の意見を反映してもいい。となればエスティマ・ハイブリッドでしょう! 何が凄いと言えば「完全に他の自動車メーカーをぶっちぎってしまった」技術レベル。考えて欲しい。トヨタは世界初の本格的ハイブリッドカーであるプリウスを、4年前にデビューさせた。他の自動車メーカーも、当然ながらプリウスのようなクルマを開発すべく努力している。なのに現在に至るまでプリウスのようなハイブリッドカーを作れないでいる。「作らない」のでなく「作りたくても作れない」のだ。
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エスティマのハイブリッドはプリウスより一段と高い技術が使われている。前輪こそプリウスと同等の技術レベルながら、後輪にもモーターで駆動するシステムを追加。前輪と後輪両方を最適にコントロールすることに成功した。しかもブレーキ系まで電子制御(リコール出たが大した問題でない)。4輪の駆動と制動を全てコンピューターで行い、常に最適に制御しているのだ。他の自動車メーカーがエスティマ・ハイブリッドのようなクルマを作れるのは、最低で5年先だと思う。不可能なメーカーもあるだろう。
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この技術力で何が出来るか? 一つは環境対応。現時点で排気ガスレベルは☆三つの超-低排出ガス基準をクリア。燃費も普通のエンジン積むエスティマより50%も良くなっている。この技術を使えば、どの車種もイッキに燃費向上が可能。二つ目は安全性の向上である。電子制御ブレーキを使うと、未然に防げる事故も非常に多い。トヨタ社内のデータによれば、VSC付き車は普通のブレーキより70%も事故率を下げられるとのこと。エスティマ・ハイブリッドの技術を見ると、何だか新しい世紀に入った実感があります。日本の自動車メーカーは”完全に”外国のメーカーを技術力で抜いたと思う。