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ガイアックスについて

最近話題のガソリン代替燃料であるガイアックスについて環境省がテスト結果を発表した。その意見はガイアックスを販売している『ガイアエナジー』と真っ向から対立している。

国沢 光宏

執筆者:国沢 光宏

車ガイド

『ガイアックス』なるガソリンの代替燃料を御存知だろうか? 全国に100店舗以上のスタンドがあるため、すでに使っている方もいると思う。麦芽100%のビールに対する『発泡酒』みたいなもので、いわゆる節税商品だと思えば判りやすい。ちなみに組成はガソリン成分50%以下なため、ディーゼル用の燃料である軽油と同じ低い税率が適用されている。ガソリンより20円くらい安く販売されていて、パンフレットを見ると「ガソリンと全く同じに使え排気ガスはクリーン」と書かれている。しかし自動車メーカーに聞くと「ガソリン以外の燃料を使って発生したトラブルは保証の適用範囲外です」という。

そんな中、環境省はガソリンの代替燃料として知られるガイアックスの環境適合試験を行い、結果を発表した。それによると「Noxはガソリンの最大5倍排出される」とある。Noxは窒素酸化物とよばれ、汚染された大気の指数となる物質。主としてディーゼルエンジンなどから排出される悪玉だ。ガソリンの5倍も排出されるとなれば、クリーンな燃料とは言えないだろう。一方ガイアックスを販売している『ガイアエナジー』の言い分を聞くと「環境省の試験は触媒を使ったデータ。触媒を使わなければガソリンよりNoxは少ない」。触媒を使わないクルマにガイアックスを入れればクリーン。触媒付きのクルマならガソリンの方がクリーンということ。

現在販売されている乗用車の大半は1973年規制対応(27年前に施行された)だから、ほとんど触媒が付いている。触媒付かないガソリンエンジン車というのは、バイクや商用車くらいのもの。すなわち普通のクルマならガソリンを使うべき、というのが環境省の見解か? 自動車用エンジンを開発している技術者の意見はどうだろう。何人かに聞いてると、皆さん「最近のクルマは厳しい排気ガス基準をクリアするため、相当に細かい燃料の制御など行っています。アルコールが半分以上入っている燃料だと、キチンと燃焼のコントロールを出来ない場合もあります」。ガイアックスの成分のうち、50%近くはアルコールなのだ。

むろんガイアエナジーサイドも黙っていない。早くも「燃料中に含まれる硫黄濃度はガソリンより少ない」と主張。ガソリンの硫黄分は約10ppm程度だと言われる。ガイアックスの成分はガソリン+アルコールだから、もし硫黄濃度ゼロのアルコール類を使っていれば純粋なガソリンより硫黄濃度は低くなるだろう。ただ10ppmの硫黄濃度あっても、最先端のガソリンエンジンなら高度な燃焼&触媒技術を使い、大気よりクリーンな排気ガスにしてしまう。これまた「触媒無しとした場合」なのだろうか?

いずれにしろ決着が付くまで、もう少し時間が掛かるかもしれない。とりあえず新型車は、普通のガソリン使っておくのが無難と考える。触媒無しのスクーターなどならガイアックスがクリーンだと思う。
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