過去と未来を行き来する特権、ヴィンテージ
皆さん、ヴィンテージ(年代物)や古着など、新品ではない服に興味がありますか!? 誰が着たかわからない、古い、扱いにくそう……などとネガティブにとらえている人が少なくないかもしれません。マカロンを思わせる淡いピンクの、フワフワ感が春らしいボレロ。昔の女性が夜寝る前に髪の毛をとかすとき、寝間着の上に羽織ったものだそうです。こんな手の込んだ仕事の服は今ではもう入手困難でしょう。 NYで買い付けた1930年代の物・ブランド不明。 ボレロ 72,450円/Optitude AOYAMA |
でも、実はとても使い勝手に優れ、着こなしの幅を広げてくれる、ファッション価値の高い存在なのです。
実は、ファッションデザイナーはヴィンテージからインスパイアされて、最新のコレクションを発表しているケースが珍しくないのです。
ビッグメゾンを任されたデザイナーは必ず過去のアーカイブ(歴史的作品群)をヒントに新作を生み出します。ヴィンテージにはそのブランドの歴史が刻まれているからです。
それだけ大事にされているヴィンテージの魅力はどこにあるのでしょうか!?
【CONTENTS】
昔の人はこの羽織物をアウター(外着)としては使わなかったようですが、今ならアウターのボレロとして使わない手はありません。重ね着のコーディネートが楽しめるアイテムです。ヴィンテージならではの繊細な仕上げや珍しい素材感が愛らしさと気品をまとわせています。この春夏の人気アイテムとなっている白のミニドレスで合わせれば、さらに可憐な装いに! ワンピース 50,400円/LyricisM |
それはそれで、とても便利なのですが、昔は違いました。大半の服は手仕事で縫い上げられていました。
そのおかげで、細かい仕立てに手が込んでいます。大量生産を前提にしていないので、生地やボタンなどの素材も念入りに選ばれています。
着る個人をあらかじめ想定して仕立てた服も多く、作り手の気持ちが込められています。
ボタンかがり一つ取っても、機械作業ではできないような手作業ならではの丁寧さが見て取れます。お針子さんの技のたまものです。こうしたハンドメードは「手の届くオートクチュール」と呼べるほどです。
過去に誰かが大切に着た服は今ではそれ1点しかない究極のレア物。愛着を込めて大事に扱われた服には自然と人の手を経た温かみが備わるもの。大勢のデザイナーがヴィンテージからインスパイア(触発)されて新作を発表しているのも、こういったモノへの愛情、過去の作り手へのリスペクト、着てくれる人とのつながりを大事にしたいと考えているからでしょう。
小さなお花が全身に咲き誇っているかのような、立体感たっぷりのミニドレス。まるで映画「マリー・アントワネット」の世界に出てきそうなパステルトーンのスウィーツカラーが春の気分を浮き立たせます。一つ一つのフリルを、細かいシャーリング作業で完成させました。妖精か天使を思わせる甘さと、可憐ではかないたたずまいは女性の内面を象徴しているかのようです。ネオ・ロマンティックな気分で着てみたい。 ミニドレス 102,900円 グラディエター(剣闘士)ブーツ 29,400円 LyricisM 2007春夏コレクションより |
まだまだ、ヴィンテージの魅了は続きます。次のページでは、ヴィンテージや古着を購入するときの心得をお教えします。3つのポイントを知っておけばもう大丈夫!