装飾美術は表層に留まろうとする美術であり、「文様」や「模様」と呼ばれる造形が配置されます。意匠化された事物のかたちは、心象を映す鏡としての風景であり、時代の美意識が表現されたものと言えるのかもしれません。
今回の展覧会は、グラフィックデザインや建築、工芸など、これまでの既存の現代美術の枠にとらわれない10名のアーティストたちが参加しています。1200平方メートルの空間に配置された現代の装飾美術は、繊細かつダイナミック!さまざまな作品の中から、特徴的な色彩表現の作品をご紹介します。
【CONTENTS】
Page1:光によって反転する“水の表現”
Page2:高さ6メートル幅26メートル!グラフィカルな壁画
Page3:鮮やかな色彩が生み出す“浮遊感”
光によって反転する“水の表現”
2008年に五島記念文化賞美術新人賞を受賞した塩保朋子氏は、切り絵による大作 《Cutting Insights》を出品しています。模様を切り抜いた白いスクリーンに照明を当てることによって、壁面に映し出される模様は、地と図の関係が反転します。白と光を用いたシンプルな色彩表現が、ダイナミックな“水の流れ”を映し出しているようです。
⇒次は、黒田潔氏による、高さ6メートル幅26メートル!グラフィカルな壁画作品をご紹介します。