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年金の強制徴収、来る人、来ない人

低下する一方の年金納付率を食い止めるために、国税庁が今年2010年の秋から強制徴収の手続きを採ることになりました。その対象となるのは、一部の長期滞納者になります。

執筆者:All About 編集部

ついに国税庁による強制徴収開始へ

今は将来の年金制度に不安を持っている人が多い

今は将来の年金制度に不安を持っている人が多い

高齢化の進展にともなって、日本の年金事情が年々苦しくなっていることは、すでに多くの人が理解しています。その一方で、「消えた年金」問題など年金制度に対する不信感からか、国民年金の納付率は毎年下がっています。現在国民年金の納付率は、わずか60%程度しかありません。

これまでは年金未納問題に対して、社会保険庁が独自に強制徴収などを進めてきました。しかし、今年2010年1月には改正国民年金法や改正厚生年金保険法が施行されるのと同時に、社会保険庁が廃止され、年金関連業務を行う新しい特殊法人として、日本年金機構が発足しました。

この新しい制度の下で、日本年金機構は強制徴収業務を国税庁に委任し、国税庁が滞納者に対して強制徴収を行っていく予定です。国税庁は日本の税金徴収を長年行ってきた組織。国税庁が強制徴収に乗り出すということは、今後さらに厳しく強制徴収が行われることが考えられます。

対象は一部の悪質なケース

ただし強制徴収といっても、1ヶ月でも滞納したからといって、すぐに差し押さえなどが行われるわけではありません。

秋からの国税庁強制徴収の対象となるのは、滞納の中でも極めて悪質なケースが中心です。厚生年金の場合は、滞納期間が2年以上で、滞納額が1億円以上のケースが対象。

国民年金の場合は、こちらも滞納期間が2年以上で、被保険者本人または連帯納付義務者の直近年間所得が1000万円以上のケースが対象です。厚生年金・国民年金どちらの場合も、資産の名義を書き換えたり、会社に使途不明の資金があるなど、悪質なやり方で資産を隠匿しようとしているケースのみに強制徴収が行われます。

ただし、破産申し立てや会社更生法の申請など、破産関連の手続きを進めている被保険者は、強制徴収の対象外となります。
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