激動の時代を改革のチャンスとする立教大学
キリスト教の全人教育に基づく「自由の学府」、立教大学の目指す教育はバランスのとれた人間形成を目標とする
総長の大橋英五氏は、「18歳人口の減少にともなう大学の経営危機がよく指摘されます。しかし私は、学生の減少をそれほど深刻な問題とはとらえていません。数が減ったとしても、若者が存在する限り、研究教育機関としての大学の使命・意義がなくなることはありえないからです」と述べている。
18歳人口の激減をこれほど肯定的にとらえている視点も珍しいのではないだろうか。社会の中で大学が変わっていくのではなく、大学こそが社会を先取りしていこうという素晴らしい理念が立教大学にはある。立教大学134年の伝統からこのような激動の時代を改革のチャンスと考える発想も生まれてきた。その一つが、1990年代にはじめられた「全学共通カリキュラム」の導入である。
「全学共通カリキュラム」とは?
立教大学の全学共通カリキュラムの目指すところは、「教養のある専門人」の育成ではなく、「専門性に立つ教養人」の育成であると言われている。また英語の立教大と言われているように、語学教育では定評がある。聞く・話す・読む・書くという基本的な面での訓練が、様々な角度から能力別に1年次から行われる。そのポイントは、少人数による語学教育と自宅や教室外からいつでもアクセスできる英語自習システム(Rikkyo English Online)である。
定員が8名という少人数でのディスカッションの授業が週に1回、定員20名のクラスでのプレゼンテーションの授業が週1回、定員20名のクラスでのライティングの授業が週1回と、1年次からの英語の教育が全学部学科で共通してかなり手厚いものとなっている。自分の専門領域で専門を深める中で必須の専門書購読と、論文の英語による作成もこのコースのなかで自然と身についていく。
また、異なる学科、学年の学生が一つのテーマで議論し合い、接点を持つことで専門的な視野だけにとらわれない、広い視野を学生に持たせようとしている。