一筋縄ではいかないことも
改葬の意思決定は、承継する人の判断でできるものですが、実際は親戚間での話し合いや、もともと入っていた墓地の管理者(寺院など)との良好な関係のもと行われることが望ましいといえるでしょう。例えば、改葬先の新しい墓地も決まったところで早速現在の墓地があるお寺へ「改葬したい!」と告げると「先祖の代から長いおつきあいをしているのに、いまさら別の場所へ移動するなんて」といい顔をしない。さらに「檀家をやめるなら、離檀料として○○万円かかります」といわれることも多いようです。
もちろん、改葬するかどうかは個人の自由ですから、正当な理由なしに住職が拒否することはできません。しかし菩提寺というのは単にお墓の管理をするだけではなく、法要やお盆・お彼岸の供養など長い年月にわたって祭祀をとりおこなってきたわけですから、住職の勝手な言い分と片付けられない事情もあります。法外な離檀料の請求はどうかと思いますが、法事1回のお布施程度、3万~20万円ほどの金額はお世話になったことへの感謝の意として妥当な額とも言われています。
こういったトラブルを避けるためには、改葬を考えた時点で早めに相談すると良いでしょう。どうしても改葬をしなければならなくなったこちらの事情を説明するとともに今までの御礼を伝えれば、きっと理解を示してくれるはずです。改葬する際は、管理者である住職の署名・捺印入りの埋蔵(埋葬)証明書が必要となりますし、できるだけ穏便に事は運びたいものです。