このままいけば今後ますます増える?
8月上旬現在で全国で数十名の高齢者が所在不明になっていますが、この傾向は、何も対策を立てなければ、今後の日本社会でますます増えていくであろうと予想できます。増えていくと考えられる要因はたくさんありますが、まずは高齢化の進展による高齢者そのものの急増です。現在日本における65歳以上の高齢者は、約2500万人であると言われます。それが2050年には、約3500万人にまで急増すると予想されています。
またそれだけではなく、少子化の進展によって、現役世代(15~64歳)や子供世代(15歳未満)の数は2050年までに現在のほぼ半分になり、日本社会における高齢者の相対的な割合は急上昇します。
現在は20%台の前半(これもすでに世界最高レベル!)である高齢者の割合も、2050年には40%を超え、世界史上類を見ない超高齢社会が到来します。
非婚化も問題を深刻化させる
単に日本の高齢化が進むだけではなく、もう1つ危惧する要因としてあるのが、現在の晩婚化・非婚化の急速な進展でしょう。日本社会はここ20年程度で晩婚化・非婚化が急速に進展しています。特に非婚化の進展が著しく、50歳の時点で1度も結婚したことのない者の割合である「生涯未婚率」は、2005年の時点で男性が約15%、女性が約7%です。
この割合は今後も増えると予想されており、現在の20代の男女の内男性は3人に1人、女性は4人に1人が生涯未婚になるとも言われます。
これはすなわち、今から30~40年後の日本に独身で子供もいない高齢者が急増することを意味します。自分の子供がいなくても、兄弟に子供が入れば甥姪はいるかもしれません。しかし甥姪は、息子娘とは結びつきの強さが違います。
子供も配偶者もいない独身の高齢者は、家族がいないのでそれだけ所在を確認することが困難になります。それを考えると、何か対策を取らない限り、30~40年の日本社会では所在不明の高齢者がさらに増えることとなるでしょう。