エルピーダメモリは1年半で株価7倍
この1年半、エルピーダメモリ(6665)の株価は大きく変動しました。サブプライムショックによる暴落時には2008年11月21日に305円まで落ちましたが、その後、2010年4月15日には2189円まで上がっているため、なんと安値から高値まで7倍にも増えたわけです。現在は1200円台で落ち着いておりますが、それでも2008年11月21日の安値から見ると4倍水準。エルピーダメモリの株は例に漏れずサブプライムショックで暴落しましたので暴落の反動でリバウンドしてきたとも言えるでしょうが、それでも株価の反騰力はほかの銘柄に比べて非常に強かったことは事実です。まさに2008年11月21日時点でのエルピーダメモリはお宝株と言って良かったのではないでしょうか? では、今後のエルピーダメモリはどうでしょう? 今のエルピーダメモリはまだ購入検討の価値はあるのでしょうか? まず、エルピーダメモリの現状についてお伝えしておきましょう。エルピーダメモリの現状
エルピーダメモリはDRAM専業メーカーです。DRAMとは記憶を一時的に行う半導体、いわゆるメモリです。DRAMはパソコンをはじめ、液晶テレビや携帯電話などにも使われております。パソコン上でエクセルやワード、メールが同時に立ち上がるのもDRAMの一時的な記憶保持機能のおかげです。昨今のパソコンの機能がアップしているのはDRAMの記憶容量がアップしてきたから、と言っても過言ではないほど重要な部品です。DRAM業界は多額な設備投資を要し、競争の激しい業界です。業界のリーダーはというと、1990年代に日本勢を尻目に一気に攻勢をかけてシェアを伸ばしたサムソン(韓国上場5930)やハイニックス半導体(韓国上場660)などの韓国勢が挙げられます。一方で企業が破綻に陥ることも珍しくない業界で、直近でも過激な価格競争の激化から2008年に業界4位のキマンダが破綻しました。台湾勢も苦境に陥り、日本勢唯一のエルピーダメモリも昨年の春先には資金繰りに四苦八苦していました。しかし昨年11月に発売になったウィンドウズ7効果によりDRAMの市況は一気に改善し、DRAM業界は2009年末から2010年前半にかけては空前の回復を見せました。この業界全体の景気回復により、エルピーダメモリも一転して昨年の後半から回復の一途。実際に四半期ごとの決算で見ると2010年3月期の第一四半期の営業損益は423億円の赤字でしたが、第四四半期には377億円の黒字へと一気に好転しております。その後、2010年の4月頃からはこのV字型の回復傾向は一服してきているのが現状です。