「育休取得=ワークライフバランス」ではない
育休取得が、すなわちワークライフバランス社会の実現ではない |
さらに、前ページでも書いたとおり育休を取得するパパはおよそ100人に1人。ですが、残る99人が子育てに消極的かといえば決してそうではありません。むしろ忙しい時間をやりくりし、ギリギリの線で両立できているという充実感や達成感によってモチベーションを維持している方が多いように思います。そして、そんな方が働く職場で感じるのは「みんなが相手の立場に立って考えれば、休まなくてもできることと休まなければできないことは見えてくる。困ったときはお互い様なのだから、負担を分かち合って乗り越えていこう」という社風、企業文化です。
批判を覚悟であえて書きますが、現在のワークライフバランス議論に欠けているのはずばりこの点。つまり、育児休業というシステムを男性にも普及させることばかりが優先されていて、それぞれの家庭、それぞれの職場、それぞれの地域にあった価値観や文化を築いていこうとする声は、ガイドが知る限り官民どちらからも聞こえてきません。
もちろん育休取得率を上げるシステムの普及は大切です。それによって少子化が改善されるというのであれば待ったなしに必要でしょうし、取得を願っても叶わない方が多いのであれば改めなければなりません。ですが、そうであるならば国は休業中の所得や生活支援について、企業は人材の一時離脱や復職サポートについてなど、議論しなければならないことは山ほどあります。そういった議論が遅れている現状では、今後も男性の育休取得率が飛躍的に向上することなどありえないとガイドは考えます。では、いったいどうすればいいのでしょうか。次ページへ続きます。