職ショックの今、ワークライフバランスはどうなる?!
冷え込む景気、ワークライフバランスはどうなる?! |
このような環境のなかでは、国や企業が後押しを続けてきたパパの育休取得率が来年以降も伸び悩むのは容易に想像がつき、「企業は今後、ワークライフバランスどころではなくなってしまう」、「これまで推進してきたワークライフバランスの流れは一気に後退してしまう」と危惧する声が日増しに大きくなっているようです。もちろんガイドも景気が悪くなればワークライフバランスは難しくなると思いますが、同時にこれらの発言にはワークライフバランス問題の本質が見えていないと感じています。なぜなら、ガイドは「育休取得=ワークライフバランス」と考えていないから。
仮にひとりの男性が1ヵ月間の育児休業を取得したとして、その間に子育てを頑張ったところで、世の中にどれほどの影響を与えるでしょうか?しかも現在のところ、育休を取得する男性はおよそ100人に1人の割合でしかないのです。もちろんその方にとっては貴重な経験であり、それが今後の人生や復職時に周囲に与える影響は大きいでしょう。ですが残る99人が考えているのは、「育休の間って有給?無給だったら厳しいよね」「仮に1ヶ月休むとしても、その間の生活費って貯金からだよね」「同居中の親もまだ元気だし、育休までは必要ないかも」「出世には響かないというけれど、経験やスキルで同期と差がつくかもしれない」「っていうか、うちの会社にそんな余裕ないでしょ」「この不景気、『いっそのこと辞めてくれ』と言われかねない」といったことばかり……。
実はガイドは、これこそが現場からのナマの声であり、現在のワークライフバランス議論とかけ離れている矛盾点であると感じています。次ページへ続きます。