犠牲者が出てからでは遅過ぎる
死亡事件が起きているのは、無認可保育園だけとは限りません。昨年2006年8月には埼玉県上尾市の公立保育園で、本棚の中で4歳の男の子、Y君が死亡するという事件も起きています。このときも、保育士が給食のお皿が1人分余っているのを見て初めて、Y君がいないことに気づいたそうです。捜索に手間取ったのも今回と同じで、結局Y君は熱中症によって命を落としました。
この園ではY君が亡くなった当時、Y君の顔と名前が一致しない保育士が、なんと18人中5人もいたことがわかっています。いなくなった子どもの特性を知っている保育士であれば、「あの子ならきっとあそこに行っているはず」と気付き、事故になる前に子どもを発見するという事例は実は多いのだといいます。普段から子どもの行動パターンや性格を熟知している保育士が子どもたちを見守ることが、子どもの安全面にもつながるということを忘れてはいけません。
保育園についても、無認可だからダメ、認可だから大丈夫ということではないと思います。無認可でもきちんと子どもと向き合って、子どもを見守っている園はたくさんあります。それでもヒヤッとする事例はいくらでもある、といいます。認可、無認可に関わらず、保育士や園そのものが子どもの命というものに対してどのように向き合うかという姿勢の問題だといえるのではないでしょうか。
私は、ちびっこ園(当時)というベビーホテル的な無認可保育所で亡くなった子どもの裁判を傍聴して、『保育がビジネスになるとき』(ちいさいなかま)という本を書いています。裁判を通して、その園では実に20年間に20人の子どもが死亡していたことがわかりました。「子ども=お金」と見なして、まさにビジネスとしての保育であったこともわかりました。
子どもが犠牲にならないと保育環境が改善されない現実に、砂を噛む思いがします。子どもの命はお金には替えられないものだという認識を多くの人が持ち、悲しい事件がこれからは起きないようにしていきたいものです。
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赤ちゃんの急死を考える会
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