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言語道断!保育料滞納問題を考える1

保育料は、自分の子どもを預けるためのお金です。そのお金を支払わない、なんていうことはありえないはずなのですが、全国紙の調査で、なんと全国の主な都市での保育料の滞納総額が、34億円にものぼるというのです!

猪熊 弘子

執筆者:猪熊 弘子

子育てガイド

忙しく働ききっちり保育料をおさめる一方、滞納する人々も……
子どもを保育園に預けている方は、毎月の保育料をどのように支払っていますか? 口座引き落としや金融機関の窓口で直接支払う方法など、最近では保護者が支払うのに便利な方法を選ぶことができるようになっています。毎年、年度始めになると自治体からその年の保育料額の決定通知が送られてきます。

自分の子どもを預けるためのお金です。そのお金を支払わない、なんていうことはありえないはずなのですが、全国紙の調査で、なんと全国の主な都市での保育料の滞納総額が、34億円にものぼるというのです!

給食費よりも深刻な保育料滞納

2007年5月5日、子どもの日の朝、のんびり読み始めた新聞の一面に掲載されたニュースを読んで、驚いた方も多いことでしょう。保育園に子どもを通わせる親には見過ごせない、信じられないニュース。まずは、その記事より一部を抜粋しましょう。

■「保育料滞納34億円、悪質例多く差し押さえも」
読売新聞は3~4月、全国の道府県庁所在地、政令市、東京23区の計73市区を対象に、05年度の保育料の滞納額を聞いた。その結果、全市区でそれぞれ200万円以上の滞納があり、本来支払われるべきだった保育料の総額1447億3322万円に対し、滞納総額は33億9767万円に上った。文部科学省の調査で全小中学校の滞納総額が22億円超、滞納率0.5%だった学校給食費に比べても、深刻な状況に陥っている。滞納額が多かったのは、大阪市(3億7973万円)、仙台市(2億1730万円)など。東京23区は全体で5億6780万円。滞納率は東京都北区(9.6%)、世田谷区(7.4%)などで高かった。(2007年5月5日 読売新聞朝刊より)

昨年から話題になっている給食費の未納問題に続き、「今度は保育料?」という感じですが、この記事をよーく読むと、あることに気付くはず。それは、文部科学省が調査した「全国」の小中学校の給食費滞納総額が「22億円超」であるのに対し、読売新聞が独自に調査した「全国の73市区」の保育園の保育料滞納総額が「約34億円近い」ということ。調査が入っていない全国の全市区町村での滞納総額を合計したら、いったいどれだけの額になるの……?と思ってしまいます。

給食費は高くても毎月5000円程度が上限、一方の保育料は6万円ほどになる場合もあるので、滞納者の人数では比較できませんが、これらのお金がすべて税金で補われていると思うと、ひどい話です。

払わないとどうなるの?

「家賃だって払わなかったら追い出されるんだから、保育料を支払わなければ当然、子どもは保育園から追い出されるんでしょう?」と思う方が多いはず。契約社会の原理原則に従えばそうなって当然……なのですが、保育料に関しては、滞納を理由に退園させることができない理由があります。

それは「児童福祉法」でそう決められているからです。児童福祉法は、子どもの福祉を最大限に尊重するために作られた法律です。保育園は「福祉」の扱いですから、保育園の保育料のことについても「児童福祉法」に定められているのです。

まず、保育料については児童福祉法51条4項です。「都道府県及び市町村以外の者の設置する保育所における保育の実施に要する保育費用」は「市町村の支弁とする」とされています。さらに、56条の第3項に「本人又はその扶養義務者から、当該保育費用をこれらの者から徴収した場合における家計に与える影響を考慮して保育の実施に係る児童の年齢等に応じて定める額を徴収することができる」とあります。

つまり、「保育にかかるお金は自治体が支払うものではあるけれど、自治体は親の経済状況を考慮した上で、保育料を徴収できる」ということになっているわけですね。

次のページでは、保育料を支払わなかった場合への法律をみてみましょう。
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