そしてゲリラ豪雨が多発した2008年には神戸や関東エリアで集中豪雨による犠牲者まで発生する事態になってしまいました。
ゲリラ豪雨から逃れるには
夏の風物詩とも言える入道雲。これからはこんな現象にも注意しないといけない。
ゲリラ豪雨は特に集中豪雨をもたらす積乱雲の発生が急速であり、なおかつ地域が限定的な場合に、これまでの気象庁によるレーダー観測網ではとらえにくく、予測が困難であるとともに警報の発令が間に合わないために名づけられたものです。これは一時的な自然現象ではなく、積乱雲が発生するような都市部の人工的な環境(人口集中や電力消費、人工物の増加)による異常な気温上昇に起因するものと考えられています。
さらに都市部は開発によって排水能力が著しく低下しているのも問題です。アスファルトやコンクリートは水がしみこむこともなく排水溝へと流されて行きますが、都市部の排水能力は1時間に約50mm程度処理することを前提に設計されているため、それ以上の降雨量があれば当然排水できずに溢れてしまい、道路が水没してしまうのです。このため道路で立ち往生する車両が多数発生し、遂には車両内で死者が発生してしまうような事態になってしまったのです。
車は思ったよりも水の侵入に弱く、マフラーの高さ(約20cmほど)まで水位があればエンジンは停止してしまいます。もしも車に乗っているときに水没してエンジン停止しそうになったなら、迷うことなく車外に脱出することを考えましょう。ドア付近まで水位がくれば水圧でドアは開けられなくなるばかりか、エンジン停止すれば窓も開けられません。これからは車の装備に窓ガラスを割って脱出するような工具も常備する必要があると言えるでしょう。
気象庁ではこのような事態に即して、局地予報の整備を進めています。1キロ四方まで細分化した短時間予報サイト「降水ナウキャスト」のサービスはその一つです。民間気象予報会社などのゲリラ豪雨予報メールなどのサービスを利用するのもよいでしょう。これらの整備は日々進歩していますので、それらの情報に敏感になること、防災意識を高めておくことがとても重要なことなのです。