透視スキャナー投入の海外事情
2009年12月に起きたオランダ発ノースウエスト航空機爆破未遂事件のために、世界各国で透視スキャナーの導入が加速したと言われています。■イギリス
たとえばイギリス・ロンドンのメイン空港であるヒースロー空港は、今年2010年1月から透視スキャナーを導入しました。現在成田で行われているような実験ではなく、本格導入。
この導入に関しても、批判の声は少なくありません。たとえば、透視スキャナーによって生まれた画像が児童ポルノに該当するのではないか? という批判もあります。またプライバシー保護団体は、「これは全裸を撮影するも同然だ」と導入を批判しています。
3月には、すでに空港職員による不正利用事件もありました。この事件は、空港の男性職員が同僚の女性を透視スキャナーを使って不正に見ていた言われています。
■オランダ
爆破未遂事件の飛行機が離陸したオランダスキポール空港では、事件直後に15台の透視スキャナーの導入を決定。その数週間後には、さらに追加で60台ものスキャナーを導入決定しています。
■ドイツ
ドイツでは、爆破未遂事件後にベルリンのテーゲル空港で導入が決定されましたが、それに反対する団体が下着姿になって抗議するという珍事件も発生。
■アメリカ
最もテロ対策に厳しいアメリカは、すでに2~3年前から透視スキャナーの導入を開始。アメリカでは2007年頃から、すでに国内の空港で透視スキャナーの実験を開始していました。現在では、かなりハイペースで導入が進んでいます。
終わりなきテロとの戦い
透視スキャナーまでが導入されているのは、それだけテロリストの行動が巧みになり、これまでの技術では危険物の検知が困難になっているからです。実際の搭乗前身体検査だけではなく、入国時における指紋チェックなど、身元確認作業もどんどん厳格化されています。透視スキャナーの導入が進めば、テロリストはまたそれをかいくぐる方法を見つけるかもしれません。そうするとまた別の機器の導入が進む……というイタチゴッコが、これからも展開されていくのではないでしょうか。