透視スキャナー実験開始の理由
世界各国の空港で投入されている透視スキャナー。その是非は……
透視スキャナーの利用開始を実験によって検討するに至った理由は、テロ防止などのため、搭乗客の検査をより厳格にする必要があるから。これまで世界の空港では、金属探知機や係員の手作業によるボディチェックによって搭乗客の検査が行われてきました。しかし、化学物質などは、それらの検査をすり抜けてしまうこともあります。
実際、2009年12月に起きたオランダ発米ノースウエスト航空機爆破未遂事件では、爆発物を下着に縫い込んだ犯人が金属探知機をすり抜けて、機内に持ち込んでいました。
そういったこれまでの検査をすり抜ける危険物を見つけるため、海外では透視スキャナーを導入する国が増加中。そこで日本でも、まずは実験開始という運びになったのです。
実験の概要 まずは希望者だけ
今回の実験では、成田空港の2つあるターミナルの中でも第1ターミナルに透視スキャナーが設置されます。設置される場所は、南ウイング集中検査場の前のスペース。実験は搭乗客全員に透視スキャナーを強制するものではなく、希望者だけ任意で透視スキャナーを通過してもらいます。実験に使われるスキャナーは2種類5機種あり、これらが9月10日までに交代で設置されます。ただし、透視スキャナーを通過しても、これまでの金属探知機などの検査は一緒に通過しなくてはなりません。
実験に使われる透視スキャナーは、「ミリ波」と呼ばれる微弱な電波の一種を人体に当てます。すると、スクリーンにはその人の服が透視された状態で身体の様子が投影。人間の体は白、なんらかの危険物があったら黒色がスクリーンに表示されるので、危険物を持ち込もうとしている人を検知できるようになっています。
服が透視されて身体のラインがはっきり見えてしまうので、身体の様子を見るためのスクリーンは、他人がいない場所に置かれ、乗客と同性の係員がチェックします。検査する画像は顔が分からないようになっていて、かつ検査後は画像は全て破棄されます。