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NTTの企業年金減額はNG!悪いのは会社か国か?

NTTのOBを対象とした企業年金減額について裁判になっていた問題で、NTT側の敗訴が確定しました。本件では当事者間の合意を厚生労働省が認めなかったというケースで、曖昧な減額ルールが批判されています。ルールは本当に明確化すべきなのでしょうか?

山崎 俊輔

執筆者:山崎 俊輔

企業年金・401kガイド

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JALはOKでもNTTの企業年金減額はNG!?

何度かAllAboutでコラムを書いてきましたが日本航空の企業年金減額は認可、実行されることとなりました。経営破綻の状態にある企業において、その再建と雇用の維持等を同時に行っていく中、OBも現役も企業年金減額(現役では退職金減額とほぼ同義)もやむを得ないということになったわけです。

一方、先日のニュースでNTTのOBの企業年金減額は認められないことになったとニュースで報じられたことをご存じでしょうか? これは会社と国が争っていたもので、会社側が裁判に負け、減額が認められないことが確定した、というものです(2010年6月8日に確定した模様)。

もう少し詳しく説明しますと、会社がOBの企業年金の給付を減額しようと考え、法律の形式的な要件(OBの同意取り付け)はクリアし、厚生労働省に減額申請をしたところ、厚生労働省がこれを認めなかった(2006年2月)のがことの発端です。この行政判断を不服とした会社側が国を相手取って裁判をしていました(2006年5月)。
一審(2007年10月、東京地裁)、二審(2008年7月、東京高裁)ともに減額は認められていなかったところ、NTTはあきらめずに裁判を続けていました。NTTの考えは、「制度の長期的・安定的運営に向けた自主的取り組みであり、法の趣旨に合致し法令上の給付減額基準も満たしている」というもので、むしろ行政がこれを認めないのがおかしいという立場でした。
しかし最終的には最高裁も二審の判断を支持しましたので、会社の訴えは退けられることとなりました。主要な理由として指摘されているのは、給付を減らさなければならないほど経営的に厳しい状態にNTTはなかった、というものです。実際に減額の申請を出した時点においても業績は黒字だったそうです。

なんとなくニュースを読めば、NTTはつぶれるような会社でありませんし、企業年金の減額を会社の都合だけで行うのは問題があるように思えます。それを国が認めなった判断は正しいように見えます。

しかし、ニュースでは不透明な判断ルールが問題であると指摘されています。今回は問題の本質を少し整理してみたいと思います。

→もともと簡単ではない減額ルール しかし形式要件はクリア?次ページへ
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