単科大学といっても、他学部と受験勉強に変わりはない。ただ、医歯薬理工系では2次試験で理科の選択科目が2科目ある場合が多い |
2009年度は医師不足を解消するために文部科学省の指導のもと、各大学で医学部定員が若干増員された。国立大学のうち、22大学で合計107名の定員の増加。
2010年度は国公立大学定員増が42大学265人に及び過去最大の広き門となった。文部科学省は2011年度も引き続き87人の定員増をおこなった。
しかし多少の増員をされたところで、医学部が最難関であることには変わりはない。医学部を目指して多浪をする受験生も多い。当然ながら国公立大学受験なので、基本的には他学部と同様にセンター試験と2次試験を受けることになる。
どうすれば医学部に合格できるのだろうか? その必須条件を考えてみよう。
センター試験得点率は90%程度
国公立大医学部を志望するときに、どうしても避けて通れないのがセンター試験。各予備校が発表しているセンター試験のボーダーラインはおよそ90%となっている。この第一関門で失敗する受験生がほとんどだ。
2次試験で失敗したというより、センター対策を失敗して受験できない場合が多い。2次試験の対策を重視するあまり、センター試験で失敗してしまっては本末転倒。医学部を受験できずに歯学部に変更するか、理工学部で妥協を考える受験生も出てきてしまう。
具体的には合格者はどのような点数なのだろうか。私が教えた予備校医学部クラスの合格者の平均を計算してみると、上位の国公立大の医学部合格者(任意の10人)のセンター試験の得点配分はおおよそ以下のようになっている。
- 数学 ほぼ満点
- 英語 95%以上
- 国語 85%以上
- 社会 85%以上
- 理科 90%以上
以上からみると、数学と英語は当然のごとく得意でなければならない。理科は3教科の場合、特に2教科を得意科目にしている学生が多い。一方、国語の中で現代文で例年失敗する受験生も多い。母国語なので感情移入しすぎて解答してしまうようだ。暗記の多い社会系の科目は後回しにされることも多い。
大学によっては東工大や東京医科歯科大のように、センター試験の成績で第一段階選抜が行われる場合もある。数学、英語、理科に重点を置きながら、国語と社会の対策もまんべんなく対策を講じておくべきだろう。科目数が多く、それぞれ高得点が要求されている場合にはバランスよく勉強しておく必要がある。
捨てる問題を見つけろ
一般的に国公立大2次試験の問題は難しいが、正しく本質に沿った勉強をした受験生が報われる問題構成になっている。だからこそ、2次試験で挽回できる可能性があるとも言える。
2次試験で課される科目は各大学による。東工大や東京医科歯科大など理系大学は、英語、数学、理科2科目でこれが一般的。東京外語大など文系大学は、世界史、英語。東京医科歯科大などのように面接がある大学もあり、小論文を課している大学もある。センター試験で可能な限り得点しておいて、2次試験で合格最低ラインを取れば確実に合格するだろう。どの教科についても言えることだが、問題は以下の3種類から構成されている。すべてをマニアックな難問だけを出す大学はない。標準問題を適切に判断する鑑識眼を養うことが大切だ。
- 誰でもできる標準的な問題
- 少し実力が必要なちょっと難しい問題
- かなりの実力が必要なマニアックな難問
問題をすぐに解かず、全体を見てこの3種類に分類する。3に多くの時間を配分し、1や2で失敗する受験生がどれほど多いだろうか。まずは、3を捨てて、1を確実に解答し、2に移るように練習しよう。2次試験の重要なポイントは「捨てる問題を見つけろ」ということだ。
このように見ていくと決して難関大合格は不可能ではない。チャレンジする精神を持って、バランスよく勉強していけば必ず合格できる。大切なことは満点を取る勉強をしようとせず、合格最低点を取ろうとすることだ。そうすれば精神的な面でかなり楽になるだろう。
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