こんにちは、保畑です。
今回は「緊急レポート」です。
JR福知山線の脱線事故が大変なことになっていますね。とうとう死者も100人を超えてしまい、102人目の遺体が運転手本人のものだったらしいです。運転手は23歳の新人で、今までも色々な不祥事をやらかしていたようですが、我々乗客はそんなことを知る由もないわけですから、この事故は起こるべくして起こったJR西日本側の責任と言わざるを得ないでしょう。しかしながら、くやしいですが亡くなられた運転手のことを言っても仕方ありません。今回の事故で亡くなられた100人強の方々のご冥福を心よりお祈りいたします。
JR西日本の株価はどうなった?
現在のJR西日本の株価
事故が起こった4月23日午前9時半頃、株式市場にもこのニュースが流れました。そのころの報道によると死者は30-50人と報道され、株価は約30分間で一機に6000円安の40万9000円まで売られます。
その後、事故の全容が明らかになるにつれ、株式市場も嫌気売りを浴びせ、25日の終値は400,000円。一時は398,000円まで売り込まれました。これはもちろん年初来安値です。
しかし、JR西日本の株価はこれでは下げ止まりません。その後も値を下げ、4月末現在で390,000円です。今の時点では、まだ決算への影響が発表されていませんので、おそらくもう少し株価にも動きがあるでしょう。
そもそも、JR西日本は優良企業
当たり前のように「JR西日本」と呼んでいますが、正式社名は「西日本旅客鉄道」です。皆さんもすでにご存知のとおり、昔の国鉄が民営化になり、会社を分割した際の西日本部分の会社です。路線は山陽新幹線のほか、北陸、近畿、中国地方および九州をカバー。主力の鉄道事業のほか、流通事業、不動産賃貸業、ホテル業なども行っています。
今期は、福井豪雨や中越地震などの天災に見舞われたため減収と復旧によるコストアップが業績を圧迫しています。しかし、その天災を考慮に入れても、業績は悪くありません。売上高は横ばいで推移していますが、リストラの効果もあり、経常収支は順調に増加しています。05/3期の連結業績は、売上高が前年同期比0.3%増の1兆2,193億円、経常利益は同8.9%増の935億円、純利益は同21.7%増の572億円を見込んでいました(事故前)。
今回の事故の影響は?
「1両目を中心に救出が済んでいないので、今は救出に全力を挙げるだけ。収入減や補償金などの問題があり、決算に影響があるのは確かだが、現段階では申し上げられない」 4月27日、JR西日本の東副本部長の記者会見のコメントです。この言葉どおり、今回の事故によって、収入減はもちろんのこと、補償金などの問題が発生してきます。決算の数字を下方修正しなければならないことは明白ですね。
直後に発表された欧州系のUBS証券は短期的な影響として、以下を上げています。
(1)直接的な復旧費用、
(2)復旧までの機会損失、
(3)代替輸送コスト、
(4)被害者への賠償
また、中期的には、
(5)メンテナンス費、教育関連等の安全対策費用の増加、
(6)競合する大手私鉄へのシェア移転
また、UBS証券はこの発表と同時に、JR西日本を「買い」から「中立」に格下げしています。
私の見解も「様子見」です。交通機関ということで、業績の下ぶれはさほど激しくないと思われいます。通勤にJR西日本を使っていらっしゃる方々は、この事故の影響で他の交通機関を使うという例も限定的ですからね。ですから、JR西日本が次の決算の下方修正を発表した後の株価が底値といってもいいのではないでしょうか。
もともと、JR西日本は優良企業です。今回の事故もカネボウや西武のように企業の不祥事ではないので、企業不信任までは追い込まれることはないでしょう。今後のJR西日本にも注目です。
最後に一言、今後の被害者の方々およびそのご家族の方々に対するJR西日本の誠意は国民全員が注目しています。仮に、今後のJR西日本の対応が不誠実なものであり、人間の感情よりも企業業績を重んじるような方針が見えたときには、たとえ業績が良くても、投資されないことをおすすめします。そのような会社は必ず将来堕落していきますから。
以上、保畑でした。