株価の動き
日興株は事件発覚前は1400円前後で推移。その後、不正決算が発覚した昨年12月19日、ストップ安。以降、再編を期待する海外投資ファンドが大量取得した。現在の1~4位の大株主は米ハリス・アソシエイツなどの海外ファンドで計25%超を保有(ハリス・アソシエイツ・エル・ピー7.23%、 オービス・インベストメント・マネジメント6.75%、サウスイースタンアセットマネージメント6.08%、マッケンジー・ファイナンシャル・コーポレーション5.74%)。市場では「TOB価格は低い」としてファンドの一部が安易に応じないとの見方も出ている。TOB成立条件は「過半数の取得」で、同様の動きが株主全体に広がれば不成立に終わる可能性もある。シティグループは13日に買い付け価格を1株1700円にすると発表。14日の日興株は買い注文が殺到し、値幅制限の上限(ストップ高)の1690円まで上昇した。市場関係者は「シティが14日に買い付け価格はこれ以上引き上げないと表明したことから、TOB価格の上昇を期待して買う動きが乏しくなった」(大手証券)とみている。
シティグループによる日興コーディアル証券株のTOB、今後の流れ
シティグループによる日興コーディアル証券株のTOB、今後の流れ |
3月12日 東証が上場維持を決定 | ||
↓ | ||
3月15日 シティがTOB開始 | ||
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4月26日 TOB期限 | ||
<シティの保有比率> | ||
50%以下TOB失敗 | 50%超 TOB成功 | |
↓ | ↓ | |
上場維持 | ||
シティを含む上位10社の保有比率 | ||
↓ | ↓ | ↓ |
75%以下 | 75%超 | 90%超 |
↓ | ↓ | ↓ |
上場維持 | 1年後も75%越なら | 整理ポストへ |
→ | 整理ポストへ | |
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上場廃止 |
TOB成功の場合、完全子会社化に進み、結果的に上場廃止へ進む可能性もあり、今後の動向しだいでまだまだ流動的 |
シティの戦略の核心は日本での収益力拡大という憶測も飛んでいる。シティは今年7月までに銀行持ち株会社と現地法人銀行を設立(日本で展開中の銀行や証券が傘下に入る。具体的には今詰めている段階)。数年以内に個人向け銀行を倍増させる予定で、日興の子会社にもその狙いがあると見られる。
一方、日興コーディアルグループの桑島正治社長は12日夜の記者会見で「顧客へのサービス提供、投資家ニーズに対応し、早期の信頼回復を図るにはシティとの提携は必要」と述べている。