ニュースを聞いて入力ミスの危険性を再認識した人も多いだろう。慣れからくる気の緩みには要注意だ。 |
今回はそんな人のために、誤発注の当日にいったい何が起こったのかを簡単に見てみましょう。
みずほ証券が前代未聞の注文ミス!
そもそもの事の発端は、12月8日の朝、人材派遣会社ジェイコムの株を売ろうとしたみずほ証券が間違った注文を大量に出したことに始まります。この日、晴れて東証マザーズに上場したジェイコムは当初、67万2,000円の特別買気配となっていました。この株を1株売ろうとしたみずほ証券が出した売り注文は、「61万株を1円で売り」。本来は「1株を61万円で売り」とすべきところを、反対にしてしまったのです。
これにより、ジェイコム株は67万2,000円の初値をつけて以降、一気に急落。取引開始から30分後の9時30分には、57万2,000円まで下がることになったのです。
なぜ57万2,000円でストップしたの?
1円で売り注文を出したにもかかわらず、なぜ57万2,000円で下落がストップしたの?と疑問に思う人もいることでしょう。そのワケは、「ストップ高」「ストップ安」にあります。
株式市場には、あまりにも急激な値上がりや値下がりを避けるため、あらかじめ「制限値幅」と呼ばれる値動きの上下の幅が決められています。
市場によっても若干異なりますが、東証の場合、50万円以上100万円未満の銘柄の制限値幅は10万円。ですから、67万2,000円から57万2,000円まで急落したところでストップ安となり、株価は下げ止まりとなったのです。
ストップ安の13分後にはストップ高!
さらに、ストップ安となった直後に、異変に気づいたみずほ証券が慌てて買い戻しを始めます。そこで今度は株価が一転、暴騰することになります。そして、9時43分には、株価が67万2,000円を10万円オーバーした77万2,000円のストップ高に。その後も株価は動かず、そのまま1日の取引を終えています。
ストップ安からストップ高になるまで、その間たった13分。これは日本の株式市場において稀にみる出来事です。それだけに、市場関係者や投資家に及ぼす影響は大きかったといえそうです。