文章:石津 史子(All About「年金」旧ガイド)
企業年金は、今岐路に立たされています。超低金利などの影響を受け、将来の支払いに必要な退職金や年金の積立金が不足し財政的に非常に厳しい状況に立たされているところがでているからです。そんな中で積み立て不足に悩まずにすむアメリカの企業年金プラン、 401(K)プランは救世主のように脚光をあび、今の通常国会での日本版の401(K)プラン(以後、確定拠出年金)関連法案成立を待っている状況です。
さて、確定拠出年金が法制化され税制面でのメリットが確定するまでに、続々と企業の方針が発表されています。
すでに人材派遣大手のパソナでは確定拠出型年金を99年9月に導入し、給与からの拠出金天引きをし、運用を開始していますし、このたびは、すかいらーくグループでは既存の確定給付年金を廃止して確定拠出年金を導入することを労使間で話し合いに合意した模様です。
外食業界は人材の流動性が高く、すかいらーくグループの従業員の勤続年数も平均9年前後と短いため、勤続年数にかかわらず運用によって年金や退職金の金額が決まる制度を受け入れやすい企業風土があったのでしょう。また、日立製作所はじめトヨタ自動車などは既存の確定給付年金と並立して確定拠出年金の導入を検討すると表明しており、確定拠出年金はこれからの企業年金の中核的な存在となることは間違いありません。
ところで、加入者側からみた確定拠出年金とはどんな年金でしょうか。国民年金や厚生年金など公的年金や、民間の保険会社や簡易保険が販売してきた個人年金の多くは、加入時、または契約時に受取額が決定している確定給付年金でした。それに対し確定拠出年金は、まったく今までの年金とは姿の違うもの。確定しているのは、毎月給料から拠出する掛け金だけで、将来受け取れる年金額は不確定なのです。つまり、これは運用の上手下手にかかってくるわけです。
また、運用といっても、今までのように「国」や「会社」にお任せではありません。確定拠出年金プログラムに加入する人自身が、あらかじめ企業から指定される運用先の中から、掛け金を投資する先やその配分を指図するのです。上手に運用できればリターンも大きいけれど、その逆もありうるということで加入者自身が、運用の責任をとることになります。
「私には、まだまだ確定拠出年金は縁がない!」・・・ではなく、導入されてからでは遅いぐらいに受け止めて、今のうちにいろいろな金融商品の特性を勉強し投資信託についても慣れておくことは大切ですよね。今行動を起こすことで「いざ導入」というときにも慌てずに対処できますし、選択の目が効きますし、運用の自信にもつながっていくだろうからです。もちろん、確定拠出年金のプランに参加するかどうかは任意です。じっくり、自分流で将来に備えればいいのです。しかし、その他の金融商品で自前の年金を作るつもりなら、税制面でのメリットがある確定拠出年金を一部でも利用しない手はないように思うのです。
しっかりと勉強して運用し、ハッピーリタイアメント目指してくださいね!!!
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