国債・債券/国債の基礎を学ぼう

金利1.30%の国債は買いか?(4ページ目)

預貯金より金利が高い国債をクローズアップします。

平田 浩章

執筆者:平田 浩章

ファミリーのためのお金入門ガイド

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国債の弱点

国債の仕組み
世の中の金利が上がると債券の価格が下がって、金利が下がると債券の価格が上がる?
いくつかある代表的な国債商品のなかでは、10年利付国債(固定金利)の金利が高く(税引き前1.30%)、いまだに続く低金利の情勢の中では、魅力的に見えます。

今回紹介した金融商品をならべて単純に金利で評価すると、その中では一番良いように見えますが、金利がずっと変わらないというのが弱点の一つです。今、この国債を買うと、それに投じた財産の増え方は満期まで毎年1.30%ずつということが確定します。

一方で、現在のほとんどゼロに近い預貯金などの金利が、今後1%⇒2%⇒3%へと上昇したらどうなるでしょうか?国債は金利面での魅力を失ってしまいます。

そして他の人たちは高くなった金利で財産を増やしていきますが、今、国債を買った人は満期が到来するまで、財産を増やす力は一定の低いままとなります。満期までの期間が長いほどつらい状況が続きます。

金利が高くなった他の預貯金へ財産をシフトするためには、満期までの途中で国債を売らないといけないこともあるかもしれません。

10年利付国債の場合は個人向け国債と違って、100万円で買った国債であっても、低金利の国債はスムーズに100万円で売れないこともあります。その時はディスカウント(値下げ)しなければ、買い手がつかないかもしれません。そのようなケースでは大きく元本割れの可能性があります。

逆のケースも起こりえます。1.30%の国債を買った後で、世の中の金利がどんどん低下していった場合です。この場合は、金利の高い国債はさらに魅力的な金融商品になりますから、100万円で買った国債にフプレミアがついて、満期前に売る場合は値上がりすることがあります。

しかし、現時点で低金利なので、さらに金利が下がる可能性は限定的です。

金利上昇リスク以外にもある国債の弱点

いずれのタイプの国債も同様ですが、物価が上昇するとその上昇率のスピードについて行きづらいです。

物価の指標となる消費者物価指数の今後の見通しは、2009~2011年までは当面上がりにくいという見通しもありますが、その後はどうでしょうか?

政権が変わって、生活や経済の建て直しに着手していますが、景気の回復は、消費の拡大につながり、消費が拡大すれば物価はおのずと上がっていきます。昨年の物価上昇率は2%を超えていました。

将来、同じような物価上昇率になったら場合、皆さんの財産が1.3%しか増えていなければ、モノの価値に対して、大切な財産が実質的に目減りをしてしまうことになります。もっと金利が低い預貯金では、そのダメージがさらに大きくなることも起こりえます。

10年物などの満期までの期間が長い国債や定期預金などでは、そのダメージがより大きくなる可能性を内包します。

上記のような観点から、私はファイナンシャル・プランナーとしてアドバイスをする際には、現時点では少なくとも日本の国債はおススメしていません。

ご自身のライフプランや、価値観・経済情勢・金利動向などをじっくりと考え、外国の債券・国内外の株式・あるいはそれらの投資信託・REITなどの他の金融商品も視野に入れて、それらを活用する必要性が高まってきています。

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