株・株式投資/株式関連情報

円高になると?株価は上がる?下がる?

為替の動きは外貨預金など、為替商品でも気になるが、株式投資にも影響を与える。具体的にどのような影響があるのだろう

執筆者:保田 隆明

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輸出中心か輸入中心かで話は変わる

midtown
為替と株価の関係
円安時に輸入商品を購入するのは損という話を前々回のコラムでしました。それは逆に、輸出を行うときには得になります。ある日本企業が缶ジュースをヨーロッパに輸出するとしましょう。前も今も1つ1ユーロで売っています。以前であればそれは100円で売るのと同じことでしたが、今では160円を受け取ることができるのです。現地で値上げをしているわけではないのに、円安になってくれたおかげで実質的に60%値上げしたのと同じ効果を持つのです。

ということは、円安状況では、輸出がメインの企業にとっては業績を押し上げる効果があります。逆に、輸入がメインの場合は業績にマイナスです。

円安時 輸入は不利、輸出は有利


さて、輸出がメインの産業とはどのような業種でしょうか?日本の場合、自動車、電機など製造業の多くは輸出型産業に当てはまります。企業は年度初めに、その年度の収益予想を出します。その予想の前提として考えている想定為替レートも発表します。それら企業が想定している為替よりも円安になれば、輸出型企業の場合は業績が上ブレすることになります。2007年3月決算時には、ホンダ、トヨタなど、自動車メーカーは為替が想定よりも円安に触れたことにより、利益が想定していたよりも増加しました。

一方今期に関しては、多くの企業が1ドル115円程度の為替を見込んでいましたので、年の前半は円安で業績上ブレ期待がありましたが、今や1ドル110円を割り込む水準となり、むしろ業績へのマイナス面が心配されつつあります。

円高時 輸入は有利、輸出は不利


一方、円高になると輸出型企業の業績にはマイナスです。その場合、株式市場では輸入型の企業が好まれることになります。しかし、日本では輸入型の産業はあまり多くありません。ただ、輸出入はあまり行わないものの、生産も消費も日本国内で完結する産業があります。例えば不動産業や銀行などはその典型です。不動産業では土地は日本の土地を扱い、購入者の多くも日本人という産業であり、銀行も預金の大半は日本人から集め、貸し出し先の多くも日本企業という産業です。これら国内で完結する産業を内需産業と呼びます。内需型企業は比較的為替の影響を受けにくいので、円高になるとこれら銘柄に注目が集まることになります。

ただ、今期は銀行に関しては、サブプライムローンの影響で内需型の貢献はなさそうです。

この外需関連、内需関連というのは、「今日は外需関連銘柄に買いが入っています」「内需関連銘柄が売られています」のように株式投資を行う際によく登場する言葉です。大体その裏では為替の動きがあるケースがほとんどです。

外需関連業種:自動車、鉄鋼、電気機器、素材など
内需関連業種:不動産、銀行、食品メーカー、小売、外食、レジャーなど

なぜ円高で日経平均が下がる?


最近は、日経平均が下落した理由として円高が挙げられることがよくあります。上で見てきたとおり、円高で株価が上がる業種と下がる業種の二つが存在するのに、なぜ日経平均は円高で下がるのでしょうか?

これは、単純に日経平均を構成する銘柄のうち、輸出型産業の企業が多いことを理由とします。もともと日本は輸出立国であり、その性格は少しずつ変わってきているとは言え、まだその割合は高いので日経平均は自ずと輸出型の影響を多く受けます。


いかがですか?合計、3回で為替と金利の話などをしてきましたが、難しいと思っていた話も、身近なものと結びつけると簡単に理解できますよね?また、今期は企業のIR発表でも、為替、金利の話がたくさん出てくるはずですので、企業のIRを理解するにも役立つと思います。
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