<努力に見合った投資がいい>
2003年11月19日にドル円相場が1ドル107円98銭の円高になると、政府・日銀による介入が行われた模様で、すぐに108円台に反落しました。テロも相次いでいますし、為替の動向がますます気になりますね。
前回の「外貨建て投資ってどうなのよ?1」では、円高と円安のとらえ方について考えてみました。みなさんは今の水準を円高、それとも円安のどちらだと考えていますか?
少し前よりは円高という風に考えられますので、「今こそ外貨に投資すべき?」と思う人も多いかもしれませんが、もっと円高になる可能性もないとは言い切れません。円高と円安のどちらでとらえるかは悩ましいところだと思います。
そこで今回は、円高、円安という局面からではなく、なぜ外貨へ分散するのか、そもそも外貨への分散投資が必要なのかについて考えてみたいと思います。
最近、「資産運用の効率を上げるために、円建ての資産だけでなく、外貨建て資産も保有して分散しましょう」とよく言われています。
資産に占める外貨投資への割合が多い少ないにこだわらず、初めて何かに投資をしようとする人が、株式、投信、外貨預金…といろいろなものに分散するのはどうかと個人的には思っています。
なぜなら、度合いに違いはあっても、投資にリスクはつきものです。リスクをできるだけ下げるには、投資する金融商品のことをよく知る必要があります。一度にたくさんの金融商品の情報収集をして投資を判断していくのは、はじめて投資する上では大変な作業だと思うからです。
また、何に投資しても想定外の事態はいつでも起こります。今回の政府・日銀による介入がまさしくそれにあたると言えます。金融商品はお互いに密接に関係していますので、そのような事態が起こった時にどう対処するかの判断も、たくさんに分散していると大変な作業になります。投資初心者でなくても、焦ってしまうのが普通です。
さらに、1ドル110円の時に100万円を投資して、運良く130円と円安になったとします。手数料や税金を考えなかったとしても、20円円安になっても、約118万円程度にしかならず、おおよそ18%のリターンです。為替の動向を読む苦労や手間を考えると、18%のリターンが見合っているかどうかは、個人的にははなはだ疑問だと思っています。
金利で収入を得る方法があると思うかもしれません。長期での保有でなら考えられなくもありませんが、為替の動向次第では、金利分は簡単にふっとんでしまうことは否定できません。すぐに使う予定のある資金にはこの方法はあまりむいていないと言えるでしょう。
外貨に分散投資することは、インフレになってお金の価値が目減りした時に有効と言われています。しかし、多くの人は為替の動向に一喜一憂すると思いますので、できるだけ損をしても耐えられる、そして自分の力で投資できる金額から始めるといいと思います。
次のページでは投資につきものの、損失をどう考えるかについて考えてみたいと思います。