生命保険/生命保険の加入方法

保険契約は約款(やっかん)を読んでから!

契約のときに渡される約款。小さい字で難しそうなことがぎっしり書いてあるから読むのもウンザリ。でも約款は、いわば保険会社との「契約書」。保険金・給付金を正しく請求するためにも目を通しておくことが大切!

執筆者:海野 千絵

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重要事項説明書などで契約の注意点をチェックして!
保険の契約をするときに渡されるのが「約款(やっかん)」です。細かな文字で、難しそうな言葉が並んでいる小冊子を見たことがあるでしょう。目を通したことがないという人が多いのも事実です。保険証券はきちんと保管してあっても、約款を失くしてしまう人は珍しくありません。

「約款」は重要です

実際のところ、保険証券は紛失してしまっても、実務上はそれほど大きな問題はありません。ほとんどの保険会社で、入院給付金などの請求の際には、証券の提出の必要はありませんし、解約や満期保険金の請求の際も、実印と印鑑証明を用意してあれば、問題もなく手続きができます。死亡保険金の請求のときも、どこの保険会社に入っているか、遺族の方がわかってさえいれば、同様に手続きができます。

株などの債権は証書そのものが価値があり重要ですが、保険証券については、「契約した保険金額や保険期間を書き示したもの」であって、本来的な意味では、あまり価値はありません(「家族の安心を証明するもの」としては、もちろん重要な意味合いがありますが)。

保険は「保険会社との契約」であり、その契約内容の詳細を書き示してあるものが「約款」です。そのため、約款はとても大切なものなのです。

「ご契約のしおり」部分だけでも

本当なら、「契約書」でもある約款をスミからスミまで読んだ上で申込書の記入をしたいところです。でも、正直なところ、それはチョット無理でしょうから、重要なポイントだけをおさえておけば大丈夫です。

渡される冊子は、「ご契約のしおり/約款」となっている場合がほとんどです。契約内容を詳細に書き記した部分が「約款」で、約款の中から重要な点(保障内容など)をまとめたものと、契約する上で注意しなければならない点をまとめたものが「ご契約のしおり」です。ですから、「ご契約のしおり」の部分に目を通せば、だいたいのことを理解できるようになっています。

「ご契約のしおり」には何が書いてあるの?

「ご契約のしおり」にはまず、申込書に記入する前に注意すべきことが書いてあります。契約者・被保険者が記入すべきところは、きちんと本人が記入しなければいけないということや、クーリングオフの制度などについて書いてあります。

その先を読み進めると、加入する保険の仕組みや、主契約・特約について、どのような場合に保険金・給付金が支払われるか記されています。逆に、どのような場合には保険金・給付金が支払われないかも記されています。

その他、健康状態や職業について正しく告知しなければいけないということや、募集人(営業員)に口頭で伝えただけでは告知したことにならず、告知書に正しく記入しなければいけないということなども記されています。

「約款」を読むのも楽しい

「約款」の内容も少し目を通してみましょう。死亡保険は、死亡だけでなく、高度障害の状態になったときも死亡保険と同額の高度障害保険金が支払われますが、「高度障害」の状態とはどんな状態なのか、約款に記されています。また、災害死亡保険金が支払われる「不慮の事故」とはどんなものなのか見てみると意外な発見もあったりします。

医療保険部分には、入院給付金のほかに手術給付金もありますが、手術給付金の給付倍率表などもみてみましょう。それと、女性の場合、女性疾病入院特約などを付けることがあると思いますが、女性特有の疾病を定めている表をみてみると、女性特有の臓器に関する疾病だけでなく、リウマチや貧血・低血圧などでの入院も、女性疾病となることが分かります。また、保険会社・保険商品によっては、血液の病気についてもう少し広い範囲でカバーしていたり、ガンについて、乳房や子宮などだけでなく、すべてのガンを女性疾病の対象としているものもあったりします。

約款の条文は、法律の条文のように、慣れないと読みにくい文章ですが、少なくとも、どこに何が書いてあるのか目を通しておくだけで、本当に何かがあったときに、すぐに確認することができます。ぜひ一度でもいいので目を通してくださいね。

申し込み時には受領印が必要

保険の申込書には、「約款を受領しました」と受領印を押すスペースがあり、必ず捺印することになります。しかも、「約款を読んで内容を理解しました」という内容の文言も添えられています。その受領印がなければ申込書の不備となり、契約は成立しません。

ときどき、「約款をもらった覚えがない」とか「申し込んだあとから約款が送られてきた」なんて聞くことがありますが、本来はありえないことなのです。本当ならば、保険設計書と同時に約款を見ながら説明を受けて、納得してからでなければ申込書に記入することはできないはずだからです。

少なくとも、「ご契約のしおり」のページをめくり、わかりにくいところは募集人(営業員)に質問して内容を確認しておきましょう。それに答えられないような募集人(営業員)だったら、その方から契約するのは考え直したほうがいいかも知れません。

また、「約款はあとから持ってきます」なんて言われたら、OKしてはだめですよ。保険は、トータルでは何百万円ものお金を払う契約ですから、そんないい加減なことでは困ります。

なお、通信販売の保険では、書類を送ってきた封筒に約款が入っていますから、申込書を送った時点で、「約款はすべて読みました」と申告していることになります。

昨年は、「保険金の不払い」が社会問題になりましたが、私たち契約者が保険の内容を理解して請求していれば保険金を受け取れたケースも少なくありませんでした。あらためて自分の契約内容を「ご契約のしおり/約款」で確認しておきましょう。
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