生命保険/生命保険の見直し方

生命保険の転換制度の問題をもう1度考えてみよう

「そろそろ更新の時期です。ご加入中の商品よりも充実した補償を同じくらいの保険料でご案内できるようになりました。是非ご検討を!」こんな勧誘おかしくない?

長島 良介

執筆者:長島 良介

生命保険ガイド

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転換制度にメリットなし!問題点を確認しましょう
「そろそろ更新の時期です。ご加入中の商品よりも充実した補償を同じくらいの保険料でご案内できるようになりました。是非ご検討を!」

何かおかしな転換セールストーク

冒頭のセールストーク。何かおかしいと思いませんか? 転換の際によくつかわれているトークです。加入中の保険よりも保障内容がよくなって、同じくらいの保険料ですむそうです。

よく考えてください。転換しようとしている時期は、契約中の保険の更新時期が来た頃です。更新時期は概ね10年から15年。すなわち、契約者(被保険者)は10年なら10歳、15年なら15歳、歳をとっている時期です。生命保険は年齢が上がれば保険料も上がります。

なのにそのセールストークでは、10歳も年齢が上がっているのに、どうして保障少なくなることなく、保険料が上がらないのか? 何かおかしいと思いませんか。

生命保険は同じ保険会社であれば、保障内容を揃えた場合、年齢が高いほうが100%疑いなく保険料は高額です。安くなるはずがないのです。なぜ安くなるようなプランが作れるのでしょう。

答えは簡単です。貯蓄性の高い保険料の保険を解約し、掛け捨ての保険に変更させる。もしくは期間の長い保険を解約し、保障額は変更せず、期間の短い保険に変更させるためです。

保険会社はそのままで保障をさげずに、保険料を維持するにはこの方法しかありません。

貯蓄性の高い保険料の保険を解約させ、
掛け捨ての保険に変更させる

私の聞いたことのある中で、もっともひどい転換を勧めるセールストークは、「現在ご加入中の300万円の養老保険(既に加入して10年以上経過している)を下取りして3000万円の保障が買えます、いかがですか?保障の充実にぜひ」ですって。
(金額は正確ではないかもしれませんのでご了承ください)

さすがのお客さんもこれには驚いておい返したそうですが、セールスレディーの方は真顔で勧めていたそうです(まだ就職したての若い女性だったようです)。

お金を貯めるために加入していた養老保険をどうして必要を感じない3000万円もの保障にお客さんの意向も確認しないでおすすめプランを持ってくるのでしょう。

養老保険を下取るということは、養老保険で貯めた保険料を全部掛け捨ての3000万円の死亡保障につぎ込みなさいということです。それまで10年間貯めてきたお金が掛け捨て保険の頭金としてかけ捨てられて保険料として消えてしまいます。

このお客さんはたまたま気づきましたが、言葉巧みに勧められて気が付いたら貯蓄のつもりだった保険料がすべて掛け捨ての保険の保険料に充てられ消えていたという話は結構有るのです。

長い保険を解約させて、
期間の短い保険に切り替える

次に期間の長い保険を解約させて、期間の短い保険に切り替える。これ、保険料が安くなって当たり前です。それまで加入していた期間の長い保険には更新がありません。したがって保険料は将来上がることはありません。しかし、当然ですが期間の短い保険は、満期がくれば更新しなくてはいけません。保険料は大幅にアップします。

そして、お客さんはこのことをよく理解していません。気が付いたら終身保険が全て10年更新の掛け捨ての保険に変わっているのです。

もっとも、こうした場合契約者は自分が期間の長い保険に加入していたことすら理解していないケースがありますから、期間が短い将来保険料が上がる更新型に変更されていてもよくわからないのが実情かもしれません。しかし、知らなければいいというものではありません。

私たちはお客さんにとって役に立つプランを提案しその対価として報酬を得ています。これで、はたしてお客さんにとって役に立っていることになるのでしょうか。プロフェッショナルとは程遠いところに居るような気がするのは私だけでしょうか。

転換制度にメリットはない!

まれに、転換制度にはメリットもあるという意見を聞くことがあります。転換の際に、お客さんのライフスタイルや家族構成が変わっていて、保障内容の充実が必要であり、なおかつお客さんが営業マンを信頼して任せたいと思っている場合です。

他社への切り替えも視野に入れての見直しの場合は転換とは言いませんが、同じ保険会社内でそれまでの保険の解約返戻金等を使って見直す場合は転換といえます。同じ保険会社内なので、解約して新しい契約に変更する場合も他社に乗り換えるよりは多少は有利なケースもあるでしょう。

前提としてメリットデメリットを伝えたうえであること、顧客のニーズと状況を把握したうえで、解約、新規加入を勧めた場合のことを言っているのでしょう。なるほど、理屈に合っているような気がしてきますね。

しかし、冷静に考えてみると、どうして10年経過して、全てを解約して新しい保険に加入しなおさなければいけないようなプランをそもそも勧めたのでしょうか。

ライフプランは人それぞれと言っても、10年後を想定した時、よほどのことがない限り大きくぶれることはないはずです。本当に全てを解約して新しい保障が良いことがあるのでしょうか。

保険の専門家、ファイナンシャルプランナーであるなら、10年後に全てを見直さなければならないようなプランを提案することが間違っていると思うのは私だけでしょうか。長期の保険を中途解約するということは保険会社にペナルティを取られることになります。すなわち契約者は損をするわけです。

だからこそ、期間の長い保険を提案するときは、解約しなくて済むように、お客さんの経済状況を把握して継続が可能な提案するのが常識です。転換とは自分の10年前のコンサルティングを否定することにならないのでしょうか。転換を勧められたらぜひこの記事を思い出してみてください。
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