1.「割引債は無記名だから相続では分からないのではないか?」という質問を受ける事がよくあります。そこで今回は割引債と相続税の関係をざっくばらんにお話しましょう。
2.割引債とは正式には割引金融債といい、額面から利子相当分を差し引いた(これを割引という)金額で購入し、償還時に額面金額が払われる債券です。この額面金額と発行価額の差が実質上受け取る利子になります。東京三菱銀行、商工組合中央金庫等で発行されています。ワリトー、ワリショー等の商品名で知られています。
3.割引債を買うには発行銀行へ直接行って代金を支払います。「保護預かり」といって債券を預けますと名前は言わなければなりません。しかし自分が債券現物を保有する「現物保有」を選択すると無記名でいいとなります。発行銀行は名前も聞きません。住所も聞きません。もちろん後をつけたりはしません。ですから無記名となり、なにか秘密を持ったようで人気があるのも事実です。
4.では税務署は相続後の調査でこの無記名の割引債をどうのようにして見つけるのでしょうか?
5.まず他の預金が引き出されていて行き先が不明なものは割引債になっていると推定します。仮に2000万円が行方不明だったということにします。引き出されてはいるがどこに行ったか分かりません。さあ、どうやって説明しましょうか?
(1) 食べました。残念ながら月50万円も食べますと通風、高血圧が待っていると言われています。豊かな時代ですからご馳走も何回もすると嫌われてしまいます。
(2)旅行に行きました。残念ながら世界一周しても一人100万円もかからないようです。旅行は体力いるので年に何回も出来ません。
(3)ギャンブルで損をしました。確かに生前ギャンブルをする人でしたら説明がつくのですが。私の経験上相続税を多額に納めた人でギャンブルを真剣?にやった人はあまりいないのです。
というわけで説明がつかない事もあるものなのです。
6.そこで税務署は引き出された日と同じ日を割引債発行銀行に行って徹底的に洗い出します。同じ金額を見つけると「しめた!」という事になるそうです。この調査力はたいしたものだといつも思っています。無記名とは言え発行銀行には本人を特定するのに便利なヒントもあるようです。
7.次に銀行から借金した時に担保に割引債を入れている場合があります。それで税務署が割引債を買った経験があった事に気づきました。担保は記録に残っています。税務署は簡単に見つけました。
8.このように分からないだろうと思われている割引債も、税務署の調査によって結果的に分かってしますケースが多いようです。今回は少し筆が滑ってしまって、ざっくばらんに話しすぎたでしょうか?
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