ゲレンデでの雪崩事故に備えて、対策が必要
雪山の魅力は行った人にしか分からないものがあります。しかしそこにはリスクが存在します
雪崩というと、雪山登山に行くような人だけに関わること、と思いがち。しかし実際には、ゲレンデ内で被害に遭うような事故も発生しているので、対策が必要です。
雪崩とは、どんな現象? 発生しやすい状況とは?
雪崩は、大きく分けて2種類あります。- 表層雪崩…気温が低く、大量の新雪が急激に積もった場合に発生
- 全層雪崩…降雪や降雨の後に、天気が良く、気温が上がった時に発生
このうち12月~2月頃の気温が低い時期には表層雪崩が発生しやすく、その速度は100km/h~200km/hというものすごいスピードです。
また3月~4月頃の春スキーをする頃には全層雪崩が起きやすくなります。スピードは表層雪崩よりはやや遅くなりますが、規模の大きな雪崩になる恐れがあります。
これらのことは山スキーや冬山登山をする人間にとっては常識的なことです。問題なのは、まったく知識のないスキーヤーやスノーボーダーが被害に遭いやすいことなのです。
この数年はバックカントリーと呼ばれるゲレンデ外の滑走が人気を呼んでいますが、それを禁止区域や危険エリアに指定された場所で行う人が後を絶ちません。整備されているゲレンデ内での雪崩事故というのはほとんど可能性はありませんが(ゼロではありません)、ゲレンデ内での雪崩事故は、滑走禁止エリアに指定されたところを越えたところで発生しています。
雪崩の前兆とは? 注意すべきポイントや必携グッズをおさえる
雪山はどんな場所でもリスクからは逃れられません。でもルールを守れば危険にまきこまれにくいのです
まず、上級スキーヤーやスノーボーダーは、自分を含めて周囲の人間に、天候や積雪によって雪崩発生の危険を知らしめる義務があることを認識すること。
また、無圧雪エリア(パウダーゾーン)は、必携グッズであるビーコン・ゾンデ・シャベル、この3種の神器なしに入ることは許されません。できればプロの地元ガイドをつけて滑ることをおすすめします。
山岳ガイドや上級者であっても雪崩に遭って命を失う人もいます。最も安全なのは、けっしてそういうエリアに近づかないことなのですが……。
また降雪地域を車で走っていると、たまに道路の側面に雪庇(せっぴ・雪の張り出し)などを見かけますが、それらも雪崩の前兆なので、近づかないようにしましょう。雪面に雪のころがった後やクラック(ひび割れ)を発見したときも要注意です。速にその場を離れて避難するようにしないといけません。
スノーレジャーはルールを守っていれば、実に安全で素晴らしい生涯スポーツとなります。家にこもらず、ぜひその素晴らしさを味わっていただきたいと思います。
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