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二世帯住宅は安くつく?高くつく?(2ページ目)

二世帯住宅は、建て方にいくつかの方法がありますが、一概にどの方法がトクかは判断が難しいところです。費用を安上がりにしようと思いがちですが、問題は家族全員の合意があるかどうかにかかってくるようです。

執筆者:菱田 雅生

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二世帯住宅のタイプ別の特徴

建築コストは高くなりがちだが、区分登記ができればローンも別々に組める
二世帯住宅と一口に言っても、タイプによって得られるメリットや注意点も異なるので、少し細かく見ていくことにしましょう。二世帯住宅のタイプは、大きく分けて次の4種類。

【1】共用タイプ
【2】内階段タイプ
【3】外階段タイプ
【4】連棟タイプ

です。

まず【1】共用タイプは、完全に1つの住宅を二世帯で共有するもので、玄関はひとつ。間取りの工夫で寝室以外をすべて共用にしたり、玄関以外のすべてを内部で分けたりもできます。いずれにしても、もっとも同居感の強いタイプです。このタイプは、区分登記ができませんが、建築コストは最も安く、共用部分が多いほど安上がりです。

次に、【2】内階段タイプと【3】外階段タイプは、1階部分と2階部分を二世帯で分ける場合に用いられますが、玄関を1階に2つ作るか、1階と2階に玄関を1つずつ作るかの違いです。このタイプでは、内部で行き来する部分に鍵つきの防火扉を設けることによって、区分登記も可能になります。区分登記が認められると、外見は1つの住宅でも2戸扱いとなり、住宅ローンも別々に組めるうえ、共有登記に比べて登録免許税や不動産取得税、固定資産税などを安く済ませることが可能になります。

特に、二世帯分あわせた家屋の床面積が240平米を超える場合など、住宅が比較的大きいケースでは、区分登記か共有登記かで、税額がかなり違ってくる場合があるので要注意です。

そして最後の【4】連棟タイプは、2軒の家をくっつけて建てるようなもので、より各世帯の独立性が保てるタイプです。この場合でも、内部で行き来できるように防火扉を設けたり、2階のベランダを通じて行き来できるようにしたりと、世帯間の交流を図る工夫は可能です。区分登記できるように、防火扉などに鍵をつければ税負担を抑えることも可能でしょう。

しかし一方で、内階段・外階段タイプ、連棟タイプは、台所や浴室などを二世帯分作るので建築コストが高くなってしまう傾向にあります。当然、ランニングコストも高くなりがちです。

二世帯住宅の資金・税金面でのポイント

なお、資金・税金面では、二世帯住宅の取得の仕方によって、住宅ローン控除や3千万円特別控除(不動産の売却益から3千万円を差し引く特例)、買換え特例(住宅の買い替え時の利益に対する課税を繰り延べる特例)などを利用する場合、注意点がいくつかあるので挙げておきましょう。

まず、住宅ローン控除については、親の家を子世帯の費用負担でリフォーム(増築)して二世帯住宅にする場合、親の持ち家なので控除は受けられません。しかし、リフォーム前に住宅の持分の贈与などをしてもらい、親の持ち家を共有にすれば、リフォーム後に持分割合を費用負担に応じて変更し、変更後の割合で控除が受けられます。

また、親世帯が買換え特例を使って二世帯住宅を取得する場合は、取得後の親の持分と実際に親が居住する部分が一致していないと特例の対象にはならず、親の居住用でない部分は課税されることになるので注意が必要です。

そして、親世帯が3千万円特別控除を利用する場合は、親世帯は住宅ローン控除を受けられませんが、子供世帯は可能です。親が土地を取得し、子供が建物を取得するなら問題ありません。

また、将来の相続対策を考える場合、土地は子供が取得し、時間の経過で価値が下がっていく建物を親が取得するのもひとつの方法ですが、子供は住宅ローン控除が受けられなくなります。

このように、金銭面でのメリットは、ケースによってかなり変わるので事前に調べておく必要がありますが、冒頭でも触れたように、重要なのは金銭面よりも良好な家族関係を長期的に維持できるのかという点に尽きます。二世帯住宅の建築は、家族全員で慎重に話し合い、全会一致で動けない限り、あまりおすすめできません。ローンや税金などの話よりも、はるかに難しい問題だと思います。



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