温泉/東北の温泉

屈指の炭酸量、大塩共同湯と季節露天風呂(2ページ目)

秘境南会津で個性的な温泉が大塩温泉。食塩泉ながら炭酸分を2800mg以上含み全国的にも炭酸含有量が多い。入浴すると身体が冷える感触がある貴重な温泉。雪解けの一時期のみ出現する露天風呂も素晴らしい

執筆者:郡司 勇

 3大塩温泉 たつみ荘 季節露天風呂 



1. 敷地内にある季節的露天風呂は無料開放している。
2. パイプより噴水のように大量に炭酸泉が湧出、只見川沿いの景観の良い露天風呂
3. 大塩共同湯よりも塩分は少ないが炭酸分が多く源泉に近づくと苦しい。
4. 浴槽では36度くらいになっている。透明、炭酸味+少塩味、炭酸刺激臭



たつみ1
湖面のような只見川に突き出た露天風呂


大塩温泉で季節的に出現する露天風呂があるという情報を得てから数年経ったが、このたびこれをメインにコース造りをした。昨日は到着が遅かったことと、温泉に入りすぎて食傷気味になっていたので、楽しみの露天風呂は翌日朝一で入浴した。只見川は翡翠色からエメラルドグリーンのような流れとなって宿から眺められる。そして宿の下にある露天風呂も見える。朝早くから入浴客がいた。まさに湖水の崖の上にある四半円形の露天風呂で半径5mほどの大きな浴槽である。


この地は炭酸分を多く含む地層なのであろう、雪解けの頃になって炭酸のある地層に水分が充満すると炭酸の圧力で自噴すると思われる。扇型の浴槽の端に源泉パイプが底から立っており、そのパイプから炭酸と共に38度ほどの食塩泉が吹き上がっている。ボコボコと周囲に二酸化炭素を振り撒きながら温泉も湧出し、50センチくらいの噴水状態の湧出である。源泉に近づくとかなり濃い炭酸なのであろう、息苦しくなった。開放的な露天風呂ながらこれだけ炭酸分を感じるので、内湯では危険なほどの炭酸であろう。隣の共同湯源泉から20mも離れていないので、同系の温泉ながらこちらは水量が多いときにのみ出て来るのを考え合わせると、水分が多いため塩分が少なくなっている。



たつみ2
噴水のように湧出する源泉



共同湯は12.5グラムほどの含炭酸食塩泉であるがこちらは6グラムほどの感触である。しかし2856mgの炭酸に比べ、こちらは4000ぐらいあるであろう。透明、強い炭酸味の中に塩苦味がある、炭酸刺激臭と記録した。大きな浴槽であるが湧出量も多いのでそれほど温度は下がらず浴槽では36度くらいである。ヌル湯で長湯に最適な露天風呂である。浴槽の縁は薄く析出物が付着し真っ茶色である。共同湯の川側はこの露天風呂から初めて見たが析出物の崖になっていて壮観である。近くの湯倉温泉ほどの析出物の山になっていないが黄色い崖となっており、湖水側からの写真も撮りたいと思った。この露天風呂は天然記念物的な貴重な自然現象である。この村ではこの源泉を塞いでしまおうとの意見もあるらしく、後日たつみ荘御主人から相談があった。敷地は所有でも温泉権は村にあるとのことである。この貴重な天然資産をこのまま守っていただきたいと思うばかりである。


 4滝沢温泉 松の湯 



1.  51.8度のNa-Cl,SO4泉 総計11760 
2.  食塩のほかにカルシウムや、硫酸塩や重炭酸も含み含蓄のある温泉
3. .浴室となりの源泉は析出物が堆積し凄い光景になっている。
4. Mgも多く表面に膜が張っている。掛け流し多量、熱い湯になっている
5. 緑色濁り、塩渋苦味、少炭酸臭

松の湯1
この塊が源泉に付いた析出物


松の湯は宿の横に源泉があり、析出物が付着して小山になり怪異な様相である。非常に存在感がある。私はあの源泉がどうなったか知りたくて再訪した。析出物がさらに付着して小山になっており、時間と共に丘のようになりつつある。源泉直上のエルボパイプから男女の浴槽にそのまま引いているのが分かるので一切加工していないのが一目瞭然である。民宿松の湯は小さな宿で個人宅のような外観であるが、源泉を所有しており新鮮な湯が男女内湯に掛け流しされ、素晴らしい温泉である。


松の湯2
床が析出物でコーティングされている


析出物が多く配管が(といっても2.3mであるが)詰まるらしく今日も源泉及び配管の掃除をしていた。緑褐色の湯で、51.8度の芒硝食塩泉である。総計11760mgの濃い湯であるが炭酸を含み濃さが感触としては減少している。CO2 はほんの170mgであるが源泉直接ではもっと多いのであろう、湯の感触は新鮮なため炭酸泉の感触もあわせ持っている。


松の湯3
ミルクティーのような色の温泉


Na 3076 K 278 Ca 357mgのほかにMg 202mgを含み湯の表面には膜が張っている。源泉は析出物の山であるが、高温のため炭酸分がそこで急速に抜けて析出し、炭酸カルシウムの生成が湯船まで及ばないのであろう。浴槽は源泉ほどの析出物がなく黄色に染まっているだけの綺麗なものであった。石張りの四角い浴槽で、内湯のみの簡素な造りであるが湯が絶品である。




※この記事に書かれている情報は2005年5月時点のものです。ご利用の際には最新情報をご確認ください。


*福島特集*
  • 鯖湖湯、波来湯、新飯坂、文化財なかむら屋 飯坂温泉の名湯と共同湯
  • 福島中通りの名湯2題と源泉浴槽の作並温泉3題 マルナカ、月光、作並3題
  • 会津川口、早戸、津川、鹿瀬、麒麟山 福島の湯4
  • 土湯峠の温泉、高湯、中通りの鉱泉 福島の湯7 
    • 前のページへ
    • 1
    • 2
    ※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

    あわせて読みたい

    あなたにオススメ

      表示について

      カテゴリー一覧

      All Aboutサービス・メディア

      All About公式SNS
      日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
      公式SNS一覧
      © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます