大学生の就職活動/就職活動での業界・企業研究

OB・OG訪問のマナー!気をつけることや当日の質問・お礼メール

OB訪問・OG訪問には、3つの目的がある。「やりたいことを探す」「内定を取る」「人脈を作る」だ。今回は、OBOG訪問のルールや気を付けたいこと、名刺交換やお礼メールなどのマナーについて場面別(アポ・事前準備・当日・後)に紹介していく。

執筆者:見舘 好隆

<目次>
 

OB訪問・OG訪問には3つの目的がある

OB訪問OG訪問のマナー!気をつけることや当日の質問・お礼メール

アポを取るのは大変だけど、実現できればメリットは大きい


以前の記事でも述べたが、自分が将来輝ける未来を探す方法は、実際に「やってみる」しかない。では、アルバイトやインターンシップに参加できなければ、もうその企業はホームページや会社案内などから類推するしかないのだろうか。1つ方法がある。それが、OB訪問・OG訪問である。OB訪問・OG訪問には3つの目的がある。

1.やりたいことを探す
1つめは、前述した通り自己分析。その中でもやりたいこと探しだ。言い換えれば、自分ができることを活かせる場所、もしくは自分にとって働くことに意味を持たせることができる場所を探すことだ。もっとラフに言えば、一緒に働きたい仲間がいる場所、自分にとって居心地がいい場所でもよい。いずれにしても、ホームページや会社案内を読むだけでは絶対にわからない「自分に合うかどうかの雰囲気」を、主観的・客観的に感じ取ることが大切だ。 内定を取る。

2.内定を取る
2つめは内定奪取だ。人事が納得する志望動機や自己PRを作成するために、そして選考情報や選考突破する秘訣を聴くために、最も有効な手段がOB訪問・OG訪問なのだ。

3.人脈を作る
3つめは人脈形成だ。結果内定が取れなくても、その機会を人脈に転じ、将来に繋げる意識を持つことが重要になる。その場だけで考えるのではなく、自分の将来にプラスになりそうな小さなアクションを、自然に積み重ねることができる人が、自分が最も輝ける将来に近づくことができるのだ。
 

OBOG訪問のマナーとルール1:アポイントメント(連絡先が不明)

相手が不在ならすぐに電話を切らずに、相手が戻る時間を聴きつつ、要件のメモを残そう。そのメモが何枚も貯まることが、熱意の表現なのだ

相手が不在ならすぐに電話を切らずに、相手が戻る時間を聴きつつ、要件のメモを残そう。そのメモが何枚も貯まることが、熱意の表現なのだ


就職活動においてOB・OG訪問の必要性はわかっていても、学生にとってハードルは高い。アポ(アポイントメント)を取る、相手にとっても有意な時間にする、内定に繋げるという、3つの大きな課題がある。特にアポを取るのは確かに難しい。「適当な OB・OGがいない」「手間がかかり面倒」などの理由で前向きになれない学生も多いようだ。逆に言えば、実施できればかなりライバルに差をつけることができるのだ。決して無理だと考えず、ダメで元々、トライすることからスタートしよう。

まず、OB・OGの連絡先が分からないときに調べる方法を記す。

1.就職課(キャリアセンター)に紹介してもらう
就職課に行けば、先輩が意中の企業に就職しているかどうかが分かる(もちろん、就職課に卒業生が申請している場合のみ)。たとえファイルがなくても、職員に聞けば教えてくれることが多い。ただ最近では個人情報保護法の施行により、教えてくれないこともある(本人が開示を承認していればOK)。しかしながら、OB・OGがいるかいないかだけでも分かれば、後述する人事に電話する手段が取れるのでトライしよう。

2.同窓会に紹介してもらう
卒業生を組織した同窓会が、ほとんどの大学であるはずだ。学内にその事務所があるはずなので、そこの職員に紹介してもらおう。就職課と同様、個人情報保護法のために教えてくれないかもしれないが、OB・OGの有無だけでも確認できれば、後述する人事に電話する手段が取れるのでトライしよう。

3.ゼミの教員に紹介してもらう
顔見知りの先輩であれば不要だが、接点がない先輩の場合はゼミの教員が頼りになる。OB・OGの連絡先を知っている場合が多いし(年賀状繋がり)、知らなくても同じ指導教員で学んだ学生なら、OB・OGも会いたいと思うだろう。いずれにしても、ゼミの教員との信頼関係がなければ紹介もしてくれないと思うので、ゼミ活動をしっかり行うことを忘れてはならない。

4.クラブやサークルの先輩に紹介してもらう
これも顔見知りの先輩であれば不要だが、接点がない先輩の場合は先輩の紹介や卒業生の名簿が頼りになる。OB・OGの連絡先を知っている場合が多いし(年賀状繋がり)、知らなくても同じクラブやサークルの後輩なら、先輩も会いたいと思うだろう。

5.アルバイト先の店長や先輩に紹介してもらう
これも顔見知りの先輩であれば不要だが、接点がない先輩の場合は店長や先輩が頼りになる。ダメ元で相談してみよう。

6.人事に電話する
OB・OGの名前が分かったらもちろん、たとえ名前が分からなくても、そしてOB・OGがいるかどうか分からなくても、人事に電話してみよう。メールでは気持ちが伝わらないので、まず電話だ。もちろん、断られる可能性もあるが、あっさり担当のリクルーター(人事から新卒採用活動を依頼された社員)を紹介してくれるかもしれない。躊躇せずトライしよう。

7.その他、すべての人脈に相談する
両親はもちろん、親戚や友人・知人、すべてに相談してみよう。意外と近くに、意中の企業に勤めている人を紹介してくれる人がいるかもしれない。人に会うたびに「○○に勤めている人を知ってたら紹介してください!」とお願いしてみよう。その時点で紹介できなくても、あとでその企業の人とばったり出会って、繋いでくれるかもしれない。学生のみなさんには想像しにくいと思うが、社会人は毎日仕事でたくさんの企業の人と出会っているのだ。

なおアポの取り方だが、連絡方法は電話やメールとなる。まず自己紹介し、そして第一に先方に伝えることはOB・OGの連絡先をどこで知ったかである。初対面のOB・OGであればこの不信感をぬぐうことが先決だ。次に目的を述べよう。第一志望であり、聴きたいことを簡潔に述べよう。そして都合のよい日時を数案頂こう。

ここで大原則は相手の都合に合わせることだ。OB・OGの方には君と会う明確な理由はない。よって、時間も場所も相手に合わせる姿勢でお願いしよう。きっと最初は忙しいからと断られることもあるだろう。しかし、ここでめげてはいけない。例えば「10分でも構いません」とお願いしよう。ただ「会って下さい」だけでは、相手は時間を作ってはくれない。熱意を持ってしつこくお願いしよう。
 

OBOG訪問のマナーとルール2:事前準備

相手は君のために時間を作ってくれたのだ。その気持ちを絶対に無駄にしてはいけない

相手は君のために時間を作ってくれたのだ。その気持ちを絶対に無駄にしてはいけない


前述した通り、OB訪問・OG訪問には2つの目的、やりたいこと探しと内定獲得がある。その目的のいずれか、もしくは両方を完遂するためにも準備をしっかり行わなくてはならない。逆に準備しなければ先輩に失礼だし、この機会を最大限に活かせられない。事前準備のルールとマナーを述べる。

1.企業研究をしっかり行う
先輩に会う前に、企業研究をするのは社会人として当然のマナーだ。企業研究をしていないことが悟られると、君の熱意の軽さに先輩の気持ちは萎えるだろう。先輩は君のために時間を取ってくれているのだから、その誠意に応える気概を持とう。詳しくはこちらの記事を読むべし。質問リストを作成するためにも、じっくり行おう。

2.質問リストを作成する
頂いた時間を最大限使うためにも、そして本番で舞い上がって何を聞くのか忘れないためにも、質問事項を紙に書いてまとめていこう。例えば、やりたいこと探しなら仕事のやりがい、そのやりがいを引き出してくれるもの、仕事のつらさ、そのつらさを乗り越えさせてくれるもの、先輩自身が入社を決めた理由、先輩の今の目標など。例えば内定獲得なら、職場に求められる人材、職場で求められる働く姿勢、先輩自身の就職活動(内定を取った秘訣など)を訊いてみてはどうだろう。

3.名刺を作る
先輩の名刺を頂くためにも、また先輩から何かしらの連絡をもらうためにも、名刺は必携である。生協などで100枚1000円ちょっとで作ることができるので、必ず用意しよう。もし間に合わない場合は、パソコンで手作りしよう。安くてもいいから名刺ケースも買っておこう。

4.待ち合わせの場所に遅刻しない
言うまでもないことだが、遅刻は絶対にできない。事前に地図や経路を印刷しておいて、当日は30分前に現地に着くようにしよう。自分の携帯番号を伝えておくと迷った時に連絡してもらえるので、メールなどで伝えておこう。

5.リクルートスーツを着用する
社会人の先輩に会うならリクルートスーツ着用が必須である。もしかしたら社内を案内してくれたり、他の社員や人事を紹介してくれるかもしれない。そんな機会に慌てないためにもリクルートスーツで臨もう。
 

OBOG訪問のマナーとルール3:訪問当日

まず最初に名刺交換から始めよう

まず最初に名刺交換から始めよう


目的を確認し、そのヒントを引き出す質問も用意した。さて本番である。目的と同時に配慮すべきことは前述した相手にとっても有意な時間にすることだ。さて、本番中に気をつけることは何だろうか。

1.名刺交換をする
駅前などで待ち合わせしたのならカフェなどに移動してからでもよいが、原則としては名刺交換は出会ってすぐ行う。自分から名刺を差し出せば、きっと先輩も名刺を交換してくれるだろう。先輩の名刺を手に入れることができれば、後述するお礼のメールや年賀状も出せる。先輩の所属部署も正確に把握できる。先輩も君へ連絡が取りやすくなっていいことばかりだ。もし渡し方に自信がなければ、両親や就職課の職員に教えてもらおう。

2.まず感謝を伝える
自己紹介の次に伝えるべきことは時間を取ってもらったことへの感謝だ。最初に感謝を伝えることで、相手も打ち解けてくれる。いい出会いになる可能性も高まる。そして話が終わったらもう一度、時間を取ってもらったことへの感謝を伝えて深く礼をしよう。最後が肝心だ。

3.大切な言葉をしっかりメモを取る
印象に残った言葉を噛みしめるようにメモしよう。その言葉が君だけの志望動機や自己PRに繋がり、後々の面接で生きてくるのだ。

例:「○○さんがおっしゃった○○○という言葉で、御社でぜひ働きたいと思いました」「○○さんに仕事で大切なことは信頼を勝ち取ることだと教えてもらいました。私は信頼関係を作るのが得意です」

大切なことは、会ったからこそ手に入れることができた情報だ。その情報がライバルとの差を広げてくれる。先輩のそんな言葉を引き出すことに集中しよう。

1.リアクションを欠かさない
とにかく笑顔でうなずこう。相手の顔をちゃんと見よう。返事もハキハキと、笑顔を忘れずに。もちろん、先輩が軽いギャグを言ったらちゃんとウケるように!

2.約束の時間内に終わる
時間オーバーは厳禁。とくに社会人は忙しいのだ。そのために質問リストを作っていくのだ。

3.また会っていただけると嬉しい旨を伝える
また機会があれば会って頂けると嬉しいと、お願いしてみよう。特に第一志望の会社なら、他の社員を紹介してもらおう。会った数だけ自信となり、面接の時にPRするネタが増えるよ。
 

OBOG訪問のマナーとルール4:訪問後

特に先輩が話してくれた「印象に残るエピソード」は詳細に残しておこう

特に先輩が話してくれた「印象に残るエピソード」は詳細に残しておこう


OB訪問・OG訪問は行けば終わりではない。終わってからする作業(まとめる・お礼する・繋げる)で、その機会を活かせるか、活かせないかが決まると言っていい。さて、訪問後にするべきことは何だろうか。

1.学んだことをまとめる
先輩と別れたら、すぐに近くのカフェに行ってノートにまとめよう。特に先輩が話してくれた「印象に残るエピソード」は詳細に残しておこう。そのエピソードを面接で披露することで、面接官に確実に「熱意」と「貴社を理解していること」を伝えることができるからだ。

2.その日中にお礼のメール(手紙)を出す
このアクションが最も重要。これができない学生がどれだけ多いことか。必ずその日中にお礼のメール(手紙)を書こう。時間とともに、先輩の記憶から君は消えていく。時間とともに、伝えたい感謝の気持ちは、先輩の心に届かなくなる。遅くなればなるほど、「聴くだけ聴いて、愛想のない奴」と烙印を押される可能性が高くなる。

3.その繋がりを、将来に繋げる
せっかくアポを取って名刺交換をしたなら、その繋がりをその場限りで終わらせてはならない。就職活動はもとより、就職してからでもその繋がりは君を助けてくれるからだ。例えば、結果その企業の選考に進むことができたら、その感謝を伝えよう。

逆にその企業の選考を落ちても、「せっかくご指導いただいたのに、すいませんでした」と感謝を伝えよう。また、気が変わって受験しなかったとしても、「お会いできたことが、自分にプラスになった」と感謝を伝えよう。君のために時間を作ってくれた先輩は、君のことを心配しているのだ。その気持ちを忘れてはいけない。

以上、OB訪問・OG訪問には3つの目的がある。やりたいことを探す、内定を取る、そして人脈を作るだ。意中の企業であれば、必ずトライして、その機会を最大限に活かそう。

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