江戸の人気観光地　成田山を楽しもう　後編(3ページ目)

成田山のお楽しみ　その二
写経で心洗われる時間を持とう

平和の大塔の一階にある写経道場。心静かにお経を書き写す場所です

近年、お寺で行われる修行に興味を持つ人が増えてきたようです。坐禅や、一泊して僧侶や尼僧の生活を体験するコースだけでなく、よりハードな滝に打たれる行などにもチャレンジしたいという人さえいるらしいです。実はわたしも、そんな「プチ修行マニア」の一人なのですが、いろいろな形の修行の中でも、写経は特別な体力や知識なども必要ないので、どなたにもお勧めできます。一心不乱にお経を書き写すだけで、日常とは違う、心洗われる時間を持てますよ。

ここ成田山新勝寺でも、最近、写経をする人が増えてきたそうです。いつでもできる写経道場が平和の大塔の一階にあり、道具もすべて準備されていますので、気軽にトライしてみましょう。

お香で身を清めてスタート

写経道場の入り口には、お香が準備されています。これを手にすりつけ、体全体を清めてから入るのが正式です

写経道場に入る前には、お香を両手にすりつけ、その手で体をなぞるしぐさをします。これには、身を清めるという意味があります。机の上に準備された半袈裟を首にかけ、合掌してスタンバイ完了。初心者の方は、このあたりのお作法も、ちゃんと指導していただけます。本日のご指導は、新勝寺教宣課の福田照塔僧正。笑顔がとても優しくて、お話しているだけで、何だか癒されます。

字が下手でも大丈夫

このように、実際に書き始める前に合掌し、心を静めてから書きはじめます。単なるお習字との違いはここです

写経とは、簡単に言えば、墨と筆でお経を書き写すものです。「えっ、字が下手だし、お習字なんか、もう何年もしてないから無理！」という方もいらっしゃるでしょうが、わたしもそうですから、ご安心ください。写経は、字の上手下手を競うものではなく、清らかな心になって、お経を書き写すことに意義があるのです。

机の上には、お手本が印刷された用紙、墨、筆などが準備されています

また、いきなり書くのではなく、用紙にちゃんとお手本が薄く印刷されているので、そのとおりに書けばよいのです。が、お手本をなぞるだけでは、単なる字の練習になってしまうので、あくまで心の中のお願いごとを念じながら、精神を集中して書くのが肝心です。

一心不乱にひたすら書く

ご指導の福田照塔僧正とわたし。吉田っ！ポーズ取ってる場合じゃないぞ。しっかり書んかい

書き写すお経は、お馴染みの「般若心経」です。全部で２７８文字のこの短いお経は、大乗仏教のすべてのエッセンスをまとめた、とても意味深いものです。が、わたしの場合、何度聞いても、難しくて理解できません。しかし、お経というものは、意味はわからずとも、唱えたり読んだりするだけでご利益があると言われるので、こうして一文字一文字書き写せば、ますますもってご利益があると思います。

お手本があるとは言え、般若心経に使われる文字は難しいものが多く、書いているうちに、だんだんと他のことを忘れ、没頭し始めます。むろん時間を競うものでもないので、自分のペースでゆっくり書けばよいのです。これほど何かに集中することは、日常生活ではあまりないことです。そのため、最近では、写経は脳の活性化や若返りにも役立つと言われ、ますますもって人気が高まっているようです。

達成感が大切です

お手本どおりのつもりでも、どこかヘンなわたしの文字。これでも本人は真剣に書いている

個人差はありますが、おおよそ一時間で、すべてのお経を書き終えます。精神集中したせいか、けっこう疲れていますが、達成感もあります。物事を成し遂げると気持ちが明るくなって前向きになる。それが写経の意義だと、福田さんはおっしゃいます。

最後にご注意。もしもうまく書けても、家に持って帰って壁に飾ってはいけません。写経は、仏様に納経する目的で書くものです。こちらにお納めすると、のちほど僧侶の方が、お経を上げて供養してくださいます。それで、写経が完了します。筆だけは、記念に持ち帰ってオッケー。これがあれば、家でも写経をやってみることができますね。

●受付　　毎日午前８時～午後３時まで随時受付 。終了は午後４時。
●場所　　成田山平和大塔　１階　霊光殿　写経道場
●初穂料　金２,０００円　[納経料を含む]
●問い合わせ　大本山成田山 新勝寺　写経係

＜DATA＞
■大本山成田山新勝寺
・所在地：・千葉県成田市成田1
・交通・アクセス：ＪＲ成田線・京成「成田駅」から徒歩10分
・地図：Yahoo!地図情報
・TEL: 0476-22-2111
・HP:大本山成田山新勝寺

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