世界遺産/世界遺産関連情報

あの世界遺産も見納め?消えゆく26遺産 前編(2ページ目)

氷河や凍土が溶け、森林や草原が砂漠化、都市や砂漠を豪雨が襲い、サンゴやマングローブが消え台風が多発……2007年4月にユネスコが発表した気候変動の影響を受ける世界遺産リストとその驚くべき内容を紹介する!

長谷川 大

執筆者:長谷川 大

世界遺産ガイド

1.温暖化の被害を受ける氷河の世界遺産

アレッチ
19世紀には23kmもの長さがあったアレッチ氷河も現在3.4kmが消滅。アルプスの氷河はすでに面積の1/3を失ったという。
世界には様々な氷河がある。しかし、美しい氷河や万年雪は現在急速に溶けつつある。1990年~2100年の地球の平均気温の伸びは1.4~5.8度と見積もられているが、4度の上昇があった場合、すべての氷河が消滅すると言われている。

氷河の消滅はその景観を大きく変えるだけでなく、湖の変成や洪水などによって地域の気候を一変し、飢饉や疾病の大流行をもたらす力を持っている。

サガルマータ(エベレスト)の平均気温はここ30年で1度上昇し、すでに67%の氷河が後退。関係の河川は軒並み増水し、大洪水を引き起こしている。ヒマラヤ山脈を水源に中国から東南アジア、インドにかけて20億人が暮らしていると言われるが、雪も年々減っており、氷河がなくなった後の深刻な水不足→大飢饉が懸念されている。

ワスカラン国立公園ではエルニーニョ現象による気候変動によって22%の氷河が後退、今後50年で氷河の消滅が予想され、1万年以上保たれてきたキリマンジャロ国立公園の氷河も20世紀の間に80%が失われ、15年以内の消滅が、スイス・アルプスでも2050年までに75%の消滅が予想されている。

南極大陸についで海水面上昇に影響を与えると言われるグリーンランドでは、地球温暖化について、地球平均の1~3倍もの影響を受けていると言われている。

■温暖化の被害を受ける氷河の世界遺産5件
  • サガルマータ国立公園(ネパール):1979年、自然遺産(vii)
  • ワスカラン国立公園(ペルー):1985年、自然遺産(vii)(viii)
  • キリマンジャロ国立公園(タンザニア):1987年、自然遺産(vii)
  • スイス・アルプス ユングフラウ-アレッチ(スイス):2001年、2007年拡大、自然遺産(vii)(viii)(ix)
  • イルリサット・アイスフィヨルド(デンマーク):2004年、自然遺産(vii)(viii)


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