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『クラッシュ』モーメント?NY花婿射殺事件

ニューヨーク25日、結婚式を翌日に控えた花婿が、警官の銃弾50発を受けて死亡する事件が起こりました。アメリカ社会の慢性的人種差別問題が引き金となった事件が大変な物議を醸しています。

執筆者:尾崎 佳加


ニューヨーク25日、結婚式を翌日に控えた花婿が、警官の銃弾50発を受けて死亡する事件が起こりました。

Look at us! Are we dressed like gangbangers? Do we look threatening?
俺たちを見ろよ、ギャングスターみたいな格好をしてるか?俺たちがヤバいヤツらに見えるってのか?
『クラッシュ』
独身最後の夜、男友達とナイトクラブに出かけたショーン・ベルさんは、店を後にした朝方、周囲を巡回していた警官5人に「銃を所持している」と間違えられ、誤射されました。ベルさんをはじめ、友人たちも武器などを持っていなかったことが明らかになり、NY市警の行き過ぎた取り締まりを非難する市民の怒りは急増。ベルさんと友人たちが全て黒人だったことから、事件に人種差別が関与しているという向きも強まり、葬儀に参列した市民の中には、"Death to the pigs"(ヤツらに死を)、"Shoot back"(報復を)と書かれた看板を掲げた人もみられました。

ベルさんらを銃撃した警官5人は、黒人、白人、ヒスパニック系のグループでした。今回の事件はヘイトクライムではなく、アメリカ人の多くが抱いている黒人に対する誤解が引き金になったと思われます。黒人=マイノリティー、マイノリティー=貧困・犯罪。こういう図式ができあがっているアメリカ社会が、ベルさんに悲劇をもたらしたのでしょう。

2005年、米人気女性司会者オプラ・ウィンフリーは、エルメス・パリ店で人種差別を受け、入店を拒否された事件を「"Crash" moment (『クラッシュ』・モーメント)」と表現しました。アメリカの人種差別の真実を描いた映画『クラッシュ』には、白人の警官が丸腰の黒人を射殺するシーンがありました。警官は、不当な差別を受けやすい黒人に同情を示す人格者でしたが、ちょっとした誤解が原因で事件を起こしてしまったのです。

ベルさんの悲劇は、事件について教会で演説を行ったアル・シャープトン宣教師の次の言葉に集約されます。

We don't hate cops. We don't hate race. We hate wrong.
警察を責めはしない。人種を呪うこともしない。
私たちが許せないのは過ちだ。


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