フランス語/フランス語アーカイブ

必携! フランス語辞書徹底比較(2ページ目)

新学期で、フランス語の勉強をはじめられる方も多いはず。辞書選びに悩むあなたのために、今回のテーマは「フランス語辞書」。ペーパー版仏和学習辞書を徹底的に比較します。もちろん、電子辞書選びの参考にも!

越智 三起子

執筆者:越智 三起子

フランス語ガイド

イメージはスタイリッシュ&クール:プチロワイヤル仏和辞典

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辞書だってオシャレにいこう!「プチロワイヤル仏和辞典」
画像提供:旺文社

【収録語彙数】40000語
【価格】3990円(税込み)・CDなし版(3885円)もあり
【CD】発音・旅行会話・動詞の活用
【装丁】服部一成・白地に黒のロゴ
【和仏】あり(日本語索引)・シンプル・29p
【裏表紙】フランス全土・旧地方・イルドフランス・コルシカ・DOM-TOM・パリ地図(名所の立体図あり)
【カタカナ・英語表記】あり(重要語)・音節区切りの表示あり
【イラストの有無】ジェスチャー(75パターン)がメイン
【例文の特徴】現代的・会話調
【宣伝文句】「学習仏和辞典のベストセラー」

収録語彙数は、それぞれ算出方法が異なることもあり一概には比較できませんが、参考のために紹介しますと3冊の中では第2位。ちなみに「語彙数」÷「本体価格」で一単語あたりの単価を求めると0.095円。(辞書って実は安い!)付属のCDには、他の2冊にはない「旅行会話 はじめてのフランス」が収録。16におよぶシチュエーションで使われる会話表現は、教材としても優れものです。

付録としてついている「日本語索引」は、いたってシンプル。余計な解説など一切なく、嫌でも該当フランス語をひかなければならないしくみになっておりその潔さが魅力。そのまま単語帳としても覚えたくなる構成です。

さらに特筆すべきは、装丁のスバラシサ!グラフィックデザイナー服部一成氏の卓越したセンスが、地味な辞書のイメージを一新させています。モード系、アートがらみでフランス語のお勉強をされている方には、はずせないポイントでしょう。また、アルファベットの冒頭部分に、その文字ではじまるフランス語の格言や引用をほどこすなど楽しい工夫がみられます。

なによりウレシイ「類義語欄」の充実ぶり!

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あわせて使いたい「プチ・ロワイヤル和仏辞典」
さて、ルックス的にはスタイリッシュで都会的なイメージをもつ「プチロワイヤル」。気になる中身はどうかというと、もちろんおしゃれでない人にも「優しい」つくりとなっています。それでは早速、voir(見る)の項目を引いてみましょう。

発音に関しては、発音記号、カタカナの併記。英語訳は「to see」となっており、to 不定詞での表示は本書のみ。そして、他の辞書と比べてなによりもウレシイのが、ニュアンスの差が一目でわかる「類語欄」の存在。

voirを「見える」、regarderを「見る」と訳出した後、voirの類義語として「apercevoir(一瞬または遠くから)、entrevoir(はっきり識別できずに)」、またregarderの類義語として「fixer(一点を)、considérer(値踏みするように)……」といくつかの例があげられています。初心者でも言葉のニュアンスを敏感にとらえることができること間違いなし。「ポイント」としてまとめられている文法の要点も知識を整理するのに役立ちます。

例文も、「J'ai vu le dernier film de Besson.(私はベッソンの最新作の映画を見た。)」、「~ un match de football à la télé(テレビでサッカーの試合を見る)」と、最近のBesson映画やサッカー人気を意識したものになっており、現代のフランスを身近に感じられるような配慮がなされています。

次にregarderの項目ですが、英語表記は、to look (at)、to watch。例文にも「~ la télévision(テレビを見る)」とでてきますから、通常映画とテレビの場合には違う動詞を使うのだなということは理解できるようになっています。

ただ一つ気になるのが、「 ~ un match de football à la télévision(テレビでサッカーの試合を見る)」という例文がregarderの項目にも登場する点。「テレビで試合を見る」という場合、voirとregarderはニュアンスの差こそあれどちらでも使えますが、例文には、より口語的である「télé」と「télévision」の使い分けもあるため、「口語の場合だと変わるの?」と余計な詮索の種になる恐れはあるかもしれません。

とはいえ、「…に気を配る・注意する」という意味でのregarderの品詞を、verbe intransitif(自動詞)ではなく、verbe transitif indirect(間接他動詞)としているのは本書のみ。「間接他動詞」とは、間接目的補語しかとらない他動詞のこと。仏仏辞典では、通常この項目は「v.tr.indir.」の略語で示されていますので、仏仏への移行を視野に入れたウレシイ工夫といえるでしょう。

ともかくどんな読者に対しても「サービス精神がとっても旺盛!」なのが「プチロワイヤル仏和辞典」の特徴です。

【引用:『プチロワイヤル仏和辞典 第3版(CD付き)』, 旺文社】(出版社による解説がみられます。)

次ページは、『ディコ仏和辞典 第3版』の紹介です。
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