防犯/防犯小説

【連載第2回】かかってくる電話も色々ですが… テレクラの甘い罠~女からの誘い(4ページ目)

テレクラで受けた電話の数々。最後に受けた電話の相手は、若い感じのいい女性だった。これから会えそうな雰囲気の会話に、その気になってしまうのは男のサガか…

佐伯 幸子

執筆者:佐伯 幸子

防犯ガイド

誘いの会話

「そうか…困ったね」(おーい、それはオレと会いたいってことか~?)

「あのぉ、私、ちゃんとしたお勤めの方じゃなくちゃいやなんです」

「というと?」

「身元のしっかりした方っていうか、ヘンな人だったらイヤだし」

「それは、ちゃんとした会社に勤めているかどうかってこと?」

「ええ。だって、もし会うとなったらちゃんとした人の方がいいし」

「そりゃそうだよね。まぁ、ちゃんとしたって意味がよくわからないけど、僕の場合、一応、名の知れた会社に勤めているけどね」
(聞いて驚くなよ)

「ホントですか? 一流会社?」

「一流かどうかは別として、名前を言えば誰でも知っている会社だと思うよ」

「そうですか。名刺とか社員証とかあるんですか?って、失礼ですけど、もしウソだったらいやだから」

「もちろん持っているよ。見たい?」
(それを確認するためには会うしかない。これから会えるかどうかこれでわかるな)

「あ、でも、今日はこれからご自宅に帰られるんでしょう?」

「さぁ、どうしようかな。キミ次第かな」
(さて、どう答えるか)

「え、それって帰らなくてもいいってことですか?」

「うん。今日は一人だからね」
(帰らなくてもいいのかなんて聞くってことは…)

「私、今夜は一人でいたくないんです」


(来た~~!)と、K介は思った。(これは、誘っているんだ。話した感じはごく普通のまともな若い女性だし、未成年でもないし、言葉遣いもまともだ。ちゃんとした家庭の子だな。それでも、無性に男と会いたいときだってあるだろう。一夜のアバンチュールをご所望ってわけだ) 

K介は、体中に力がみなぎってきたような気がした。(さて、これからが勝負のしどころだ)と、そっくりかえって座っていたのを座り直して、どう話を持っていこうか、急いで真剣に考えることにした。


※アバンチュール(フランス語) aventure・(冒険の意〕危険な恋愛。恋の火遊び。


連載第3回テレクラの甘い罠~シティホテルに続く


【連載第1回】テレクラの甘い罠~夫の言い訳
【連載第2回】テレクラの甘い罠~女からの誘い
【連載第3回】テレクラの甘い罠~シティホテル
【連載第4回】テレクラの甘い罠~インザルーム
【連載第5回】テレクラの甘い罠~深夜の訪問者
【連載第6回】テレクラの甘い罠~夜明けの苦悩
【連載第7回】テレクラの甘い罠~妻の覚悟
【連載第8回】テレクラの甘い罠~ヤツらの最後



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