防犯/防犯小説

【連載第3回】帰れない理由と会う方法 テレクラの甘い罠~シティホテル

女が帰りたくない理由はもっともなものだった。女の要望の通りにシティホテルに泊まることにした男は予約の電話を入れる。そして女に連絡をすることに…

佐伯 幸子

執筆者:佐伯 幸子

防犯ガイド

※この連載記事は、実際に起きた事件をベースに構成してあります。【全8回】

【連載第1回】テレクラの甘い罠~夫の言い訳 
【連載第2回】テレクラの甘い罠~女からの誘い を先にご覧下さい。


帰れない理由

K介は帰りたくないという女の言葉を確かめることにした。

「じゃ、今日は家に帰らないんだね」

「帰らないというか、帰れないんです」

「そりゃまたなんで?」
(“帰らない”と“帰れない”じゃ意味が違うぞ)

「今日は、友だちの家に泊まるって親に言って出てきたの。友だちが彼氏と喧嘩して一人じゃ寂しいって言うから。それで家に行ったら、彼女がテレクラのポケットティッシュをいくつか持っていて電話しようかーなんて言ってたのね。そしたら、なんと彼氏から電話がきて仲直りしちゃって、友だちは彼氏の家に行っちゃったの。一人で泊まっていいよ、なんて言われたけど、友だちの家に一人でいるのもばからしいじゃないですか。家に帰るのもつまらないし。」

「そうかぁ。そりゃあ、友だちにはよかったけど、キミにはいい迷惑だよなー。それで、僕なんかでいいのかな?」
(そういう理由なら、帰りたくないよな)

「ええ。でも、そちらにご迷惑だったら私…」

「迷惑だなんてとんでもない。しかし、僕とまだ会ってもいないのにいいのかな」
(おいおい、本当にいいのかな。しかし、こんな機会は滅多にないぞ。なんとしてもモノにしないと)

「だって、こうして話しているだけでもいい人だってわかるもの。やさしいし」

「それは、光栄だな。まぁ、僕は悪い男じゃないしね。失望はさせないつもりだけど」
(自慢じゃないが、女には自信がある)

「うん、多分、素敵な方だと思う」

「いやー、ハハハ。ま、女性に嫌われるほうではないとは思うよ」
(けっこうモテるんだぜ)

「ふふふ。とんでもなく太っているとか、見て思わず引いてしまうタイプとは思えないから」

「あはは。それは大丈夫だよ。ごく普通の男だから」
(普通よりはカッコイイと思うけど)

「そうねぇ、私の予想では、中肉中背、見た目はごく硬いサラリーマンタイプかなー。眼鏡はかけてない?」

「眼鏡はかけていないよ。今日は仕事帰りだからね。たしかに見た目はサラリーマンそのものだな。ハハハ。ところでキミはどんな女性なのかなぁー」
(声だけだと、イイ感じだけどどうかな)

「身長は158センチ。太ってはいないけど痩せてもいないというところかな。髪は長めでちょっと染めているけど」

「女性は皆、染めているでしょう。じゃあ、バランスの取れた素敵な女性だな。タレントで言うと、誰に似てるって言われる?」
(これは常道。一番わかりやすいし)



→お泊まりする所
→→シティホテル
→→→携帯電話番号


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