防犯/防犯小説

【連載第3回】帰れない理由と会う方法 テレクラの甘い罠~シティホテル(3ページ目)

女が帰りたくない理由はもっともなものだった。女の要望の通りにシティホテルに泊まることにした男は予約の電話を入れる。そして女に連絡をすることに…

佐伯 幸子

執筆者:佐伯 幸子

防犯ガイド

シティホテル

「私、そういうの嫌いなんです。なんだか、悲しくなってしまうから。入っていくのも、出るのも誰かに見られても困るし。何か清潔感が感じられなくて」

「そうかぁ。じゃ、どうしたらいいかな」
(なんかうるさいこと言い出したなぁ)

「あのー、ちゃんとしたホテルなら」

「ちゃんとしたって、まさか○国ホテルとか?」
(そんなこと言われたら困るぜ。勘弁してくれよ)

「ヤダぁ、ふふ。そんなぜいたくは言わないですよ。普通のちゃんとしたシティホテルなら嬉しいんだけど」

「あぁ、なるほど」
(アセルぜ)

「場所がそこなら、駅のそばに新しく出来たホテルとかありますよね」

「あー、あの高層の」
(あそこならそれほど高くないかな。まぁ何万円か、かかってもめったにないことだし。風俗に行ってもそれくらいかかるって言うしな。援助交際じゃないんだからホテル代にかけたほうが気分はいい。ラブホテルよりは確かに清潔で気持ちもいいし、万一、誰かに見つかっても言い訳ができる。そうだ、シティホテルのほうがよっぽどいい)

「ゴメンナサイ、無理を言って。あの、もしよければ、割り勘でもいいんですけど」

「いや、そんなことはいいよ。キミにそんなことをさせるつもりはないから」
(割り勘だなんて、なんというか真面目だな。とにかくそこまでしてオレと会いたいってことだな。これは本気だ)

「いえ、本当に。あまり高かったら」

「大丈夫だよ。クレジットカードもあるし」
(いや、待てよ。カードだと後で明細書が送られてくるからな。万が一、妻に見られても困る)

「もしご無理だったら…」

「いや、大丈夫。ちゃんとキャッシュもあるから」
(コンビニに行って現金を下ろそう。あ、駅のそばには24時間やってるATMもあったな。大丈夫だ)

「スミマセン…」

「それで、じゃぁ、どうしようか」

「あの、もしよければ、お部屋を予約していただいて、お部屋でお待ちいただくというのは」

「えっ? そんなことでいいの?」
(なんだよ。それじゃ、もし来なかったら丸損じゃないか)

「だって、もし誰かに見られたら困るから」

「そうか。それじゃ、どう連絡したらいいのかな」
(連絡先も教えてくれなかったらそれまでだものな)




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