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『インビジブル・ファミリー』って何ですか(2ページ目)

先日、ふいに耳に入ってきた単語『インビジブル・ファミリー』。目に見えない家族?何それ? 前々回の記事の“近居”に通じる住まい方と家族のかたちのこれからを考えてみました。

藤原 千秋

執筆者:藤原 千秋

家事・掃除・子育てガイド

「おじいちゃんちのミニバン、おばあちゃんちのチャイルドシート」

維持費のかかるクルマは親負担で所有、ただし運転は子。「病院への送迎が必要になったら、よろしくね。」その時「聞いてないよ?!」なんて言わないで・・・・・・
維持費のかかるクルマは親負担で所有、ただし運転は子。「病院への送迎が必要になったら、よろしくね。」その時「聞いてないよ?!」なんて言わないで・・・・・・

『インビジブル・ファミリー』には、特徴的な消費行動があります。先の「2006年NRI生活者1万人アンケート調査」によれば、子世帯の傍に住まいを持つ親世帯層は、そう住まわない層に比べて、多人数が乗車できるミニバンなど大型車の保有率が高くなっています。

昨今のガソリン高騰、それでなくても都心部に住まいながらクルマを維持する経費は馬鹿にならないものですが、子世帯に比べて経済的に余裕のある親世帯が共用できる大型車を近くに住みながら所有していることで子は助かり、老いてきた親も子に運転を任せることができるといったメリットの共有を伺うことができます。

また、子育てを助け合う意味で、孫のベビーベッドを親世帯でも購入したり、親世帯のクルマ用チャイルドシートを購入したりという消費行動は、これまでにはあまり見られなかったものだそう。確かに安くもない育児用品をダブらせるだなんて、一昔前なら「そんな無駄」と一笑に付されてしまいそうな買い物にも思えますが、これこそ『近居』『隣居』をよりスムーズにし得る類の、独特な消費行動なのです。


『インビジブル・ファミリー』へ至る道

また、地方に住む親が、当地の家屋敷を売却処分して、都心に住む子世帯の家の近所に住まいを借りたり、同じマンション内の住戸を買ったりというケースが、いま実際に増えてきているといいます。

実は、ガイドが執筆し今から4年前の2004年に出版した『二世帯住宅の考え方・作り方・暮らし方』(学習研究社)という本のコラムにて(P36)「今『同じマンション内の別々の住戸』に親子が住む『近居』という住まい方が、都心部の団地などでジワジワ増加しているようです。」と既に軽く『近居』の増加に触れているのですが、当時から二世帯ではなくこの『近居』というキーワードをわざわざ指して取材依頼を受けることがありました。

不思議に思って尋ねると、『同居』を前提とする二世帯住宅について触るよりも、別居前提の『近居』の方が取材者自身にとっての生理にも苦がなかった、というような逆コメントが。なるほどそんな生理は取材者固有のものではなかったのでしょう。『近居』への注目度が、この4年の間にちゃくちゃくと増加してきたことにより、その先見性の確かさが裏付けられたようにも思えます。

しかし、そこには同時に、景気回復傾向と謳われながら全く一般家庭レベルではそう実感しづらい、特に若い世代においての収入の頭打ち感や、石油高騰に伴う物価高の予感、同時的に持ち上がる妻の就労継続の必要性と出産年齢へのリミット感、けれど二律背反的に襲う子育てへの不安感、救急車のたらい回しなどによる医療への不信感といった、ほんのここ4、5年の間に急激な変化を見せた世相との見事なシンクロをも見ることが出来、無邪気に「『近居』は、親子双方にとってメリットたっぷり」と賞賛することは躊躇われるところがあるのです。




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