インターネットサービス/インターネットサービス関連情報

「旅の窓口」創業者に聞く情報仲介業の今 ベストリザーブ小野田社長に聞く

「なによりもユーザーの利便性を第一優先」という姿勢がユーザーの拡大を創出。宿泊予約サイト「ベストリザーブ」小野田社長に聞く情報仲介業のポイント

水上 浩一

執筆者:水上 浩一

インターネットサービスガイド

情報仲介業について語る小野田氏 情報仲介業について語る小野田氏
インターネットの普及で、メーカーが製品(サービス)情報を自ら発信することが可能になりました。これまでは、製品(サービス)情報は、問屋へ集められて、小売り店舗は問屋の製品情報や売れ筋情報に基づいて仕入れ、販売していました。問屋を介することのメリットは、たとえば玩具の小売り店が商品を仕入れる場合、メーカーと直接取引するには、ロットが多かったり、多数のメーカーと取引しなくてはなりません。その非効率を解消するために、問屋は各種メーカーから商品をある程度まとめて仕入れることによって小売り店の問題を解決していたのです。

ところがインターネットが普及し、メディアとして進化していく中で、メーカーが独自のサイトを制作し、そこで商品の情報発信を行い、小売店と直接取引が可能になりました。それどころかメーカーが直接ユーザーにアプローチすることが可能となったのです。そうなると、今度はいままで小売店や問屋がある程度情報を整理してユーザーに発信していたのが、ダイレクトで製品情報として伝わってくることになったため、ユーザー自身に情報を整理するスキルが要求されるようになってきました。

しかしユーザーはそんな膨大な情報を整理することができません。そこで登場したのが「情報仲介業」(インフォメディアリ)です。

「情報仲介業」は文字通り「情報」をビジネスにしているのですが、商品とはしていません。ユーザーは、そのサイトで得た情報をもとにして、そのサイトを経由して商品を購入したり、サービスを受け取るなど、情報を無料で受けることができます。情報仲介業のサイト運営会社は、ユーザーが最終的に商品を買ったりサービスを受けた先の店や会社から仲介手数料を徴収する仕組みです。

ユーザーと企業を結びつける「情報仲介業」には大きく下記の型に分類されます。以下、それぞれの解説と、3つの要素を内包するケースとして、また2005年7月以降、手数料やポータルとの連携等で話題となっているネット宿泊予約の草分け的存在、ベストリザーブ小野田社長にインタビューをさせていただきました。

「スペック比較型」

数多くある製品やショップの中から最適な性能や、購入価格を比較して製品や購入店舗を決定することは至難の業です。それらをサイトでまとめ、一覧表示させることによりリストでスペックや販売価格を比較できる仕組みです。

「スペック比較型」の実例「価格.com」

「価格.com」は、パソコンや 家電をはじめ、様々なジャンルの商品の比較サービスを提供する、 国内最大規模のインターネット比較検索サイトです。全国の参加店舗の協力のもと、約17万点の商品に関する価格情報をはじめ、ユーザーのくちコミ情報、評価情報など あらゆる情報を集約し、中立・公平な立場から提供しています。2005年7月31日現在、1ヶ月間で約2億7,500万PV、月間約627万人のユーザーに利用されています。

価格だけではない、総合的な商品情報や、掲示板を利用したくちコミ情報による、商品利用者の感想やレビュー、購入を予定している人からの質問、それに対する回答など、ユーザー同士の情報交換(約400万件の書き込みデータ)を備えています。また、型番ごとに販売店と販売価格を一覧できる「価格表」のわかりやすさや、希望商品の最安価格の変動を、パソコンや携帯電話にメールで通知する「お知らせメール」がユーザーには好評です。

「リスト紹介型」

グルメ情報を例にあげますと、地域ごとのおいしいお店等をジャンルや、シーン別にユーザーに使いやすいように分類、ユーザーの感想とともに、紹介しているといった情報サイトのことです。

「リスト紹介型」の実例「ぐるなび」

国内最大級のレストラン検索サイトのトータルサイト、 ぐるなびは、月間3億8,000万 のページビュー、加盟店役3万店舗、1,000万人以上のユニークユーザー、さらに会員 数348万人を超えるメガサイトに成長しています。(2005年8月現在)また、2005年8月には、サイトの348万人の会員や3万店舗を越える情報掲載飲食店のネットワークを活用した「食」に関する調査に特化した市場調査事業に参入、「ぐるなびReseaech」を開設しました。このケースでは、情報とユーザーと言うぐるなびの資産の再利用化を実現している優れたビジネスモデルとなっています。

「マッチング型」

ユーザーとサービス提供先を結びつける仕組み、サイトのことです。代表的なのはやはりネット宿泊予約サイトでしょう。

激動の宿泊予約サイト

情報仲介業の事例として、2005年7月以降、手数料やポータルとの連携等で話題となっているネット宿泊予約サイト。2005年8月30日現在、ネット宿泊予約業界は、動きがあわただしい状態です。楽天トラベルが手数料値上げを打ち出しましたが、ライブドア傘下のベストリザーブは手数料無料キャンペーンを発表したことにより、楽天トラベルは実質値下げを余儀なくされました。さらにYahoo! JAPANと リクルートは8月2日、ネット上の旅行関連サービスを共同展開することで基本合意したと発表。9月以降、「Yahoo!トラベル」上から、リクルートの「じゃらんnet」の契約施設を予約できるようになり、予約可能な国内施設数は現在の約8,500から約15,000と大幅に増え、最大手の 楽天トラベル(約1万7,260)に迫ります。また海外旅行でも順次協業を進め、国内最大規模に育てる計画です。

今回、楽天トラベルの前身である「旅の窓口」(創業時は「ホテルの窓口」)を1996年に立ち上げ、2000年にベストリザーブを創業した小野田純社長に、各社のビジネスモデルについての見解と情報仲介業について、そしてネット宿泊予約業界の予測を伺いました。

<次のページでは、小野田純社長に、各社のビジネスモデルについての見解と情報仲介業について伺います!>
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