住宅購入のお金

【正直不動産2 第6話のあらすじをFPが考察】不動産営業マンによって諸費用が変わる?

ブラックなイメージが拭えない不動産業界。ドラマ「正直不動産」で描かれるような悪徳営業は本当にあるの?――。2月13日の第6話の放送内容を踏まえ、不動産を借りたり買ったりする場面での住宅業界のここだけは気をつけたいポイントを確認していきましょう。

執筆者:All About 編集部

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不動産営業マン

不動産営業マンによって諸費用が変わる?

ブラックなイメージが拭えない不動産業界。ドラマ「正直不動産」で描かれるような悪徳営業は本当にあるの?――。

山下智久さんが演じる、嘘のつけない不動産営業マン・永瀬財地が活躍する不動産業界のお仕事コメディーシリーズ第2弾「正直不動産2」(NHK総合)。

2月13日の第6話の放送内容を踏まえ、不動産を借りたり買ったりする場面での住宅業界のここだけは気をつけたいポイントを確認していきましょう。

第6回の放送内容のおさらい、ネタバレ

登坂不動産の月下(福原遥)は、3カ月も家賃を滞納している劇団員の女性から相談を受ける。劇団員は親に迷惑をかけられないという思いから、保証人である親に家賃を肩代わりしてもらうことなく自力で解決しようとしており、演劇活動とアルバイトの両立に苦労していた。

夢を追う劇団員を応援したい月下は、大家の猪口(梅沢富美男)に家賃の支払いを待ってほしい旨を伝えるが断られてしまう。もはや打つ手もない絶体絶命のタイミングで、Z世代の新入社員・十影(板垣瑞生)の思わぬ「タムパ」(タイムパフォーマンス)の一言が事態を動かすことになる……。

住宅業界ここだけは気をつけたい!諸費用の罠

ドラマの本筋としては上記のような流れだったのですが、今回は、同じ賃貸物件なのに担当の不動産営業マンによって諸費用が全く違っていたというシーンに注目したいと思います。

諸費用の違いが発生したのは、いわゆるAD物件と呼ばれる物件でした。ドラマの中で解説されている通り、AD物件とは、貸主が仲介業者である不動産屋さんに広告料(AD=アドバタイズメント)を支払っている物件のことを指します。貸主が早く借主を探したいときなどに利用され、不動産営業マンが積極的に紹介してくれるというメリットが貸主にあります。

AD物件の場合、仲介手数料を無料にしても収益を得られるため、登坂不動産では借り手から仲介手数料をもらわないルールになっていました。それにもかかわらず、完全出来高制のフルコミッションで働く黒須(松田悟志)が、借り手から仲介手数料をもらっていたことが発覚して問題となったのです。

このように、担当する営業マンあるいは不動産屋さんによって、諸費用が変わるなんてことが実際にあるのでしょうか。賃貸と売買の2つのケースに分けて見ていきましょう。

賃貸の場合:AD物件で仲介手数料が無料だったらむしろラッキー

黒須のケースは、たまたま複数の借り手の資金計画を比較できたため発覚しましたが、そうでない限り、「AD物件で仲介手数料がかからなかったらラッキー」だったと思うことしかできず、借り手としての対策はないというのが実際のところです。

もっとも、賃貸の場合には、仲介手数料以外の鍵交換代や室内クリーニング代などの諸費用も賃貸図面に明記されていることがほとんどのため、契約時の諸費用について事前に把握しやすい状況といえます。

売買の場合:「住宅ローン取り扱い手数料」が発生していないか注意!

一方、売買の場合には、購入契約の際の諸費用やら住宅ローンを組む際の諸費用やらで、いろいろな手数料が発生します。住宅ローンを組む際の諸費用は各金融機関によって名目が異なるものの、基本的にはどこも同じようなものです。

しかし、購入契約の際の諸費用は、担当する営業マンあるいは不動産屋さんによってまちまちです。購入しようとしたタイミングで資金計画を立ててもらうことで初めて把握できるため、厄介であったりもします。

よくあるのが、「住宅ローン取り扱い手数料」という名目のものです。確かに、現金で購入するお客よりも住宅ローンを利用するお客の方が手間はかかってしまうため、不動産屋さん側としてはもらえるものならもらっておきたいお金なのですが、不動産屋さんが会社として請求することを決めている場合と営業マンが独自で請求している場合の両方のケースがあるようです。

住宅ローンの取り扱いは、多くの場合、不動産仲介サービスの一環として、その作業の対価は仲介手数料に含まれていると考えられており、「住宅ローン取り扱い手数料」を請求されないことも多くあります。買い手としては、不動産営業マンに早めに資金計画を立ててもらうことで、余計な費用をかけずに済むことになるでしょう。

また、数万円の「事務取扱手数料」なるものも存在します。この「事務取扱手数料」は、営業マン独自のものであることが多く、営業マンの懐に直接入ってしまうものであるため、注意しなければなりません。

資金計画の説明の際に、会社の資料ではなく営業マン独自の資料として資金計画書が作られている場合など、会社の決済がない状況では、営業マンはやりたい放題でこの類の手数料を発生させてしまうことが可能になってしまっています。

そのため、「住宅ローン取り扱い手数料」と同様に、買い手としては、早めに資金計画を立ててもらうことで見極めなければならないでしょう。

文:みちば まなぶ(ファイナンシャルプランナー)
大学卒業後、大手ハウスメーカーや不動産業者などを経て、住宅ローンを切り口に、住宅購入をはじめとしたライフプランニングを提案する1級FP技能士。

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