ライフキャリア

1年の出来事をランキング化→来年の目標に。専門家が10年以上続ける、良い新年を迎える振り返り術

年末はその1年を振り返る良い機会である。より良いライフキャリアを築く上でも節目で仕事やプライベートを振り返り、今の自分自身が何を求めているかを把握することは重要である。今回はライフキャリアの観点で役立つ1年の振り返り方を紹介する。

小寺 良二

執筆者:小寺 良二

ライフキャリアガイド

1年の振り返り方

ライフキャリアの専門家が10年実践する、1年の振り返り方を紹介

年末を迎えると、仕事やプライベートを含めた1年の出来事を思い出しながら、来年はどんな年にしようか誰でも考えるようになる。日本では学校も会社も年末年始は休みになるので、少しゆっくり自分と向き合うには良い機会でもある。

より良いライフキャリアを築く上でも、1年の振り返りはとても大切である。今年どんな仕事や出来事があり、そこから今後自分がどうしていきたいかのヒントを得るのだ。良い振り返りができれば、それだけ今の自分の状態や求めていることが把握でき、来年の計画に役立てることができる。

今回はライフキャリア支援を専門とする筆者自身が10年以上続けている1年の振り返り方を3つのステップに分けて紹介する。
 

STEP1. 月ごとに仕事とプライベートに分けて出来事を書き出す

最初のSTEPはその年にあった出来事を月ごとに書き出す作業からである。手帳やスケジュール機能などを見ながら、1月から順にその月にあったことを箇条書きで出していく。

この時に大切なのは仕事(キャリア)とプライベート(ライフ)で分けて出すことだ。仕事であればその月に受けた案件や携わった業務、プライベートは参加した飲み会や週末のイベントなどを書き出していく。仕事とプライベート合わせて5~10は出したい。

ポイントは、まず「機械的に出来事だけを出すこと」。そこに個別の所感や評価は入れない。失敗した仕事などは書きたくないかもしれないが、そこは感情を入れずにまず書き出す。ただもし印象的な出来事があれば○など印をつけておくといい。

例)1月振り返り
【仕事】
・D社プロジェクトキックオフ ○
・C社企画書作成
・マネジメント勉強会参加 ○
・課長とのキャリア面談

【プライベート】
・地元に帰省(同級生と新年会)
・引越しに向けた物件内覧 ○
・ゴルフ愛好会への参加

このプロセスを1~12月まで行う。このプロセスだけでも1年であったことを思い出す機会になるので良い。ここまでで振り返りの準備が整ったことになる。
 

STEP2. その年を象徴する出来事順にランキングを作成する

ここからがいよいよ振り返りの本番である。STEP2は先ほど整理した各月での出来事からその年を象徴する出来事順に1~10位までのランキングを作成する

まずは各月で出した出来事の中から印象に残っているものを10個ピックアップする。この時に仕事とプライベートの割合は気にする必要はない。どちらを選ぼうか迷ったら「その年らしい出来事」か「今年を象徴している出来事」のどちらかで選ぶといい。

10個ピックアップする作業も自分と向き合う大事なプロセスである。自分にとって今年どんな出来事が自分に影響があったのかを知る機会だからだ。

そして10個ピックアップできたら、その10個を「その年を象徴する出来事順」に1~10位でランキングにしていく。どの出来事を「今年を象徴しているか」というのは自分自身の基準でいい。多くは結婚や転勤など生活に変化を与えたものや、大きなプロジェクトなど仕事で達成感や成長感のあったこと、趣味や旅行など楽しかった思い出が上位に入ることが多い。自分なりに今年を象徴する出来事はこれだ!と意志決定するプロセスの中に、今後の自分へのヒントが隠されている。

手帳の中には1年の振り返り用のシートが用意されているものもあるので活用してもいい。
 

STEP3. 上位の出来事から今の自分が求めているものを書き出す

最後はいよいよ振り返りのまとめである。STEP3はランキングの上位のものを見ながら今の自分が求めているものを書き出す作業である。

ランキングの上位にくる出来事は、仕事であれプライベートであれ、その年の自分自身に大きく影響があったものであり、自分自身が求めているもののヒントが隠されている。それを見つけるために「その出来事から得られたもの」を分解して書き出してみる。要はその出来事自体はあるものを得るための「手段」であり、そのあるものが得られたから自分の生活が変化したり、成長したりしたのだ。

例えば筆者自身2023年を最も象徴している2つの出来事は、「大学の講義の仕事」と「小学校のPTA活動」である(きっと2023年の1位と2位)。これを、今年を象徴している出来事で終わらせずにこれらの出来事から「何を得られたのか」を書き出していく。

【「大学の講義の仕事」で得られたこと】
・大学のある名古屋に住まいの石垣島から毎週往復した(出張生活)
・大学生の成長を支援する機会を得られた(社会人以外との接点)
・プロジェクトマネジメントという分野の知見(知識・経験)

【「小学校のPTA活動」で得られたこと】
・地元の人たちとの交流(移住者以外との関わり)
・学校運営に携わる機会(子育てへの主体性)
・リーダーシップを発揮する機会(周囲への影響力)

このようにその出来事から自分が得られたことを書き出していくと、無意識に自分自身が今何に価値を置いているのかが見えてくる。それがたまたま得られたから、その出来事自体が自分にとって影響力があったように感じるのだ。

より良いライフキャリアを描くためにはまず「今の自分が何を求めているのか」を知ることである。しかし自分が何を求めているのかを自分でよく理解している人は少ない。そのためにまずは今年1年を振り返り、どんな出来事があって、その出来事を通じて自分が何を得たのかを整理する。そしてその中から自分が求めているものに気付き、来年以降それらをより得にいくのか、もしくは今年それらは得られたから十分として、別のものを得にいくのかをデザインしていくのだ。
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