アジア東部のおすすめ世界遺産
カンボジアの世界遺産「アンコール」のアンコールワット。アンコールには観光できるものだけでも50以上の遺跡がある
ここでいうアジア東部は、中国から日本にかけての東アジア、ベトナム・ラオスからインドネシアにかけての東南アジアを示す(ロシアはヨーロッパ東部へ)。
長江、メコン川、サルウィンの3つの川(江)が平行して走る「雲南三江併流の保護地域群」。写真は長江の虎跳峡 ©牧哲雄
この地域は熱帯から冷帯、海から大陸内部まで範囲は非常に広く、あらゆる気候が見られる。東アジアについては、内陸深くにゴビ砂漠やタクラマカン砂漠などの乾燥地帯と、平均で標高4,500mに達するチベット高原が広がっているが、それ以外の多くは森林が広がる温暖湿潤気候だ。世界遺産では、砂漠とツンドラが共存するロシアとモンゴルの「ウヴス・ヌール盆地」、森林や高山を含む中国の「雲南三江併流の保護地域群」、ブナ原生林が広がる「白神山地」などが特徴的だ。
一方東南アジアはほぼ熱帯に属し、降水量も多い。特に雨量が多いインドネシアなどの島々には深いジャングルが広がり、比較的雨量が少ないインドシナ半島などには森林や草原が多く見られる。ジャングルの世界遺産にはインドネシアの「スマトラの熱帯雨林遺産」、森林の世界遺産ではタイの「ドン・パヤーイェン - カオ・ヤイ森林群」などがあり、マレーシアの世界遺産「キナバル自然公園」などは双方の特徴を併せ持つ。
海や島に関連した世界遺産も数多く、東南アジア最大級のサンゴ礁を誇るフィリピンの「トゥバタハ岩礁海中公園」、火山島からなる「済州火山島と溶岩洞窟群窟群」などがあげられる。
人類の活動では、中国の世界遺産「周口店の北京原人遺跡」の北京原人や、インドネシアの世界遺産「サンギラン初期人類遺跡」のジャワ原人のように、古くからヒト属が住んでいた。1万数千年前から長江で稲作が行われ、やがて長江や黄河河岸に大文明が誕生した。稲作はアジア全域に広まり、メコンなどの大河周辺に多くの文化が生まれた。稲作に関係した世界遺産には中国の「青城山と都江堰灌漑施設」やフィリピンの「フィリピン・コルディリエラの棚田群」がある。
中国の世界遺産「秦の始皇陵」。地下には大宮殿があるといわれており、近くには兵馬俑坑もある
穀倉地帯を中心に数々の国家が栄枯盛衰を繰り返したが、特に中国では「万里の長城」や「北京と瀋陽の明・清朝の皇宮群」といったケタ外れの世界遺産を造る巨大国家が誕生した。また、大航海時代以降は西欧列強の支配と影響を受け、中国の「マカオ歴史地区」やフィリピンの「フィリピンのバロック様式教会群」、マレーシアの「マラッカとジョージタウン、マラッカ海峡の古都群」のように多文化が混在した植民都市が繁栄した。
宗教的には、中国から日本にかけては仏教や道教、儒教の影響が見られ、東南アジアでは仏教とヒンドゥー教、マレー半島からインドネシアにかけてはイスラム教色が強い。世界遺産では仏教関連が韓国の「八萬大蔵経の納められた伽耶山海印寺」やインドネシアの「ボロブドゥール寺院遺跡群」、チベット仏教では「ラサのポタラ宮歴史地区」、道教関係では中国の「泰山」「武当山の古代建築物群」、ヒンドゥー教関係ではカンボジアの「アンコール」やベトナムの「ミーソン聖域」などがある。
では、アジア東部の代表的な世界遺産を紹介しよう。
ボロブドゥール寺院遺跡群
四角形の基壇、5層の方形壇、3層の円形壇からなる立体マンダラ、ボロブドゥール
インドネシア、1991年、文化遺産(i)(ii)(vi)
ミャンマーのバガン、カンボジアのアンコールと並ぶ世界三大仏教遺跡のひとつ。大乗仏教の巨大な遺跡で、9層からなるピラミッド状の構造をとる。壁面には約1,500ものレリーフがあって、仏教の伝説や建造された8世紀当時の生活の様子を描いているほか、壇上には約500体の仏像と72基のストゥーパが設置されている。ピラミッド状であるのは世界の中心である須弥山を象っているためで、全体は宇宙を示す立体マンダラであるともいわれる。