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東大と京大の2次試験、英語と数学の対策を対比で解説(2ページ目)

東大と京大の2次試験は似て非なる物だ。その対策にはそれぞれの特徴を押さえた効果的な勉強方法が必要だろう。そのポイントを解説する。

吉田 敦彦

執筆者:吉田 敦彦

学習・受験ガイド


京大の英語・数学2次試験の対策

kyoudai

論理思考力を重視する京大

■英語
120分で大問3で、下線部和訳と英作文しか出ていない。毎年若干の形式の変更があることもあるが、基本形式は約30年変わっていない。基本的に英語和訳問題には、以下のような採点上のポイントがある。これらは模試の作成や、受検した生徒の再現答案(再現答案とは、大学受験後にすぐ生徒を予備校に呼び、覚えている限りの答案を書いてもらい、どのような答案で合格するかを見るもの。)から類推している。
  • 語彙力
  • 構文力
  • 文法力
  • 類推力
  • 表現力
上の三つが基礎力と考えて良いだろう。どこの大学の記述でも同じだが、単語の意味を逐語訳に置き換えるのではなく、京大の場合、何気ない単語を文脈上から類推させたり、論旨の展開上、自然な日本語に表現されているかが問われる。ただまず自分流で意訳してしまう前に、正しい直訳を心がけた方がいいだろう。意訳しすぎるとどこまでやるべきか基準がわからなくなるからだ。

英作文の場合も、同じことが言える。問題に採用されている日本文は日本語の理解力も必要な文で、直訳するだけではなかなか解答できないように作られている。自分がどのような解釈をして解答するかが問われていると言えるだろう。英語では、60%を目指して学習するといいだろう。問題集として最も優れているのは、やはり長年蓄積さている過去問だろう。問題数が十分にあるので、添削指導をうけながら、やり尽くすといいだろう。

■数学
京大の数学の場合、文系で大問5題、理系で大問6題ある。目標点数としては、60%を取れるようにしたい。文系では、大問を2問、理系では3問を完答できるのが望ましい。

解答のプロセスが非常に重視されるので、出来る問題を見抜いてそれは最後まで解くようにする。また出来ない問題も論述の経過で点数が取れるので諦めないで解けるところまで解答する。

問題集としては、青チャートが良く勧められているが、進学校の中には基礎力養成に適したシグマベストを選ぶ学校も多い。また大学への数学一対一対応の演習、教学社「京大の理系(文系)数学」などがお勧め。

センター試験対策と2次試験対策は同時進行で

センター試験前は、学習時間の中、6割から7割にセンター対策を割り振り、残りは2次試験の対策をする。センタ-試験は大丈夫を思って放置するとすぐに解答する感が鈍りやすいので注意しよう。つまり頭の中では、イメージはあるのに、それが言葉にならないという現象が起こる。頭で考えることと文字で表現することは別だと考えよう。なので、記述練習は必須。センター試験と2次試験対策の同時進行が基本。

東大は細かな時間配分を、京大は出来る問題からやろう

東大のように問題数が多く、処理能力が問われる場合、まずは全体の問題で時間配分を細かく行い、弱点問題の傾向を一つずつ潰していこう。時間内でなかなか解答が収まらない場合には、苦手な問題分野があることが多い。それを解決することで、全体的な時間の余裕も生まれるだろう。

また、京大のように論理的思考を要求する問題が多く出題される場合、傾向が明確なので対策も実際はしやすい。すべての受験科目において、どのようにして解答が導けるのかというプロセスを重視して、問題を見直すことが大切だろう。また出来そうな問題と難解な問題を判別する練習も必要だろう。出来そうな問題からやり、難解な問題も自分なりの解答プロセスを提示しておこう。

たとえセンター試験を失敗しても、2次試験で挽回することも可能なので、最後まであきらめない努力が必要だろう。東大と京大はよく対比される対象だが、それぞれに独自の校風を持つ。
自分の能力を最大限に発揮させる場に出会われることを祈ります。

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